「うわまた負けた!」
「くそ、如月が風間に買収されなきゃこんなことには……」

夜な夜な諏訪隊の隊室で成人してる人たちが麻雀していると、太刀川さんから聞いたことがある。
まさか、ここに未成年のうちに来るとは思わなかったよね。

「俺が勝ったら負けたヤツ全員3日ずつカツカレー奢るって言ったな」
「くそ、あんなこと言わなきゃ良かった」

ガシガシと頭を掻く冬島さん。

「いつもは冬島さんか東さんが勝つからな……」

と、どこか遠い目の諏訪さん。

「如月のサイドエフェクトに勝つには迅のやつを呼ぶしかないだろ」
「それな」

確かに第六感のサイドエフェクトは、未来視のサイドエフェクトには勝てない。
迅さんは私の勘が当たるときと外れるときの未来が見れるんだから勝ち目すらないんだから、迅さんが読み逃すことにかけるしかない。

「風間はなんて言って如月を買収したんだ?」
「近くに出来た有名なチェーン店のパンケーキ奢るから麻雀しないか」
「安っ!!俺らがお前に払うカツカレーの方が高いわ!!」
「風間さんは2個食べていいっておっしゃったので!」
「マジか。太っ腹かよ……」

ぶっちゃけ、今まで任務以外で風間さんと喋ったことなかったから混乱したけど。

「俺が今度、晩飯奢るって言ったらどうする?」
「麻雀手伝いますね」
「マジかよ、安っ」
「苦学生からしたら、晩ご飯代が浮くだけでも助かります」
「じゃあ今度は俺勝たせろよ」
「サイドエフェクトも万能じゃないんで保証はしかねますけど」
「それでも、一縷の希望に賭けるのがギャンブラーの性ってやつだ!」

諏訪さんが、米屋みたいな事言ってやがる。

「いや、それより次は俺が麻雀教えるから自分でしてみるか?」
「本当ですか?」
「ああ、如月ならすぐに上手くなるだろう」
「やったー!」
「おいおい、東さん直伝のエグい戦略まで学んじまったら俺ら絶対勝てないじゃねーか!」
「最強を育てたくなった」
「東さんが負けすぎて壊れた!」
「もう如月は口チャック!」
「え、でも」
「どうせ風間の勝ちだからいいんだよ!」

それから、麻雀に行く人たちに度々買収されて麻雀に参加する私がいたり、いなかったり。

「安請け合いするな?いやいや、流石に嫌なことは嫌って言います」
「嫌なことって?」

東さんが首を傾げた。

「太刀川さんの代わりだけはしないと決めてます」
「そういえばそうだな」
「あの人の負け分を取り返すのは私でもちょっと厳しいです」

なるほど、と頷く冬島さん。

「他は?」
「嫌というか、二宮さんはまず私に声をかけないしむしろ私に勝とうとしてきますね」
「二宮さんにしては無謀だな」
「まあ、太刀川さんと賭けてるらしいです」
「珍しいな、あいつが太刀川相手に熱くなるなんて」
「私が二宮さんに負けたら太刀川さんが高級フレンチ奢るって言ってました」
「なるほど」

結局、二宮さんと太刀川さんの賭けの結果は珍しく太刀川さんの勝ちで終わった。
二宮さん色々考えすぎてて、むしろ分かりやすいんだよな。
っていうのを二宮さんに言うとキレられかねないので言わないことにする。





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