「頼む、明日の小テストのヤマ張ってくれ!」
「明日にテストするって分かってて勉強しなかった出水が悪いと思う」
「ぐうの音も出ない……」
「まあ、今の今まで防衛任務だったし太刀川さんのレポート手伝ったことは考慮してあげてもいい」
「じゃあ!」
「残念。今から一緒に勉強しよう」
「うっ……」

実際、出水は良くやっていると思う。
こうやって誰かを頼ることは少ないし、自分のことはある程度自分でする奴だ。
でも、キャパオーバーになったらとりあえず私のところに来るのはどうかと思う。

「つか朔はそんな便利なサイドエフェクト持ってて自分ではあんまり使わねーよな」
「ズルみたいで好きじゃないし、自分でやれるとこまでやった方が自分のためになるかなって」
「うわ、太刀川さんに爪の垢を煎じて飲ませてぇ」
「太刀川さんは何の為に大学行ってるか分かんない人だからね」

忍田さんに怒られながら泣く泣くレポートしているところを何回も見たことがあるし、出水と一緒によく手伝わされる。

「朔ここなんだけどさ」
「あ、ここはほら、このグラフ見て……」
「……なるほど」
「で、ここの式まとめて、はい。終わり」
「めっちゃスッキリ解けた!」
「ここの問題の解き方さえ覚えてれば大丈夫だと思う」
「朔のサイドエフェクト?」
「今回だけだから」

と言ってサイドエフェクトを使ってしまう、私は出水には相当甘いと思う。

「今度焼肉奢る!」

焼肉かあ。
女の子に焼肉とはいかがなものかと思うけど。
まあ、意識されてないってことかな。
米屋とかとあんまり扱い変わらないよね。

「この前、臨時収入貰ったらしいし高級焼肉店でも連れてってよ」
「うっ……朔だけだしな」

女子だから、男よりは値段がマシだと思ったのだろう。
でも、私の勘では2人だけで行くことはないと思うんだけどいいのか?
まあ、それは言っても仕方ないか。

見事、出水は小テストを難なく乗り切ったみたいでテスト用紙を何回も見せられた。
まるでフリスビー取ってきた犬みたいだったけど、それを言うと拗ねそうだから止めておく。

「朔ちゃんなんで俺には教えてくんなかったの!!」
「だって米屋は自分でなんとかしてると思って」
「してるわけねーじゃん。俺と弾バカ比べたら俺のがいつもヤベーの朔ちゃん知ってるよな!?」
「そんな大きい声でいうことでもないだろ」
「再テストの前に教えてあげるから、ほら教科書開いて」
「俺が張ったヤマはことごとく外れた」
「サイドエフェクトも無しにヤマ張ろうとしたのか……」
「無謀過ぎるだろ……」



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