「出水ごめん。待った?」
「いや、別に……それより」
「あ、やっぱり米屋も来るんだ」
「朔、さては2人で食べに行かないこと分かってたな?」
「奢ってくれるって言われた時からなんとなく」
「くそ、焼肉なんて言わなくてよかった」
隣で米屋は爆笑している。
「あはは、ほらお金足りなかったら私も払うから行こう」
「朔は奢られる側だろ」
「そうだぜ朔ちゃん。朔ちゃんは大人しく奢られてていいの」
「そういう米屋はお金持ってきた?」
「ノーマネー!」
「最悪だな」
米屋は最初から奢ってもらうつもりで来たな。
潔いというか、なんというか。
「朔ちゃん私服可愛いね」
「え、今日の服そうでもなくない?」
「女の子らしくはないけど、朔ちゃんに似合ってるよ」
「そう?ミリタリー系の色だから可愛くはないよ」
「服の話してるんじゃないんだけど……」
「は?」
服の話してるんじゃなかったのか。
「隣でそういう会話するのやめろ」
「なんだよ嫉妬か?」
「うるせぇ」
「否定しないのかな〜?」
「違う!!」
やっぱり米屋と出水は仲良いよな。
まあ米屋は基本的に誰とでも仲良いけど。
出水とは群を抜いて仲良いと思う。
「ほら、とりあえずお肉焼くよ」
「タンからな」
「分かった分かった」
そういえば、タン好きな人結構多いよな。
焼肉に来たらまず最初に頼むのが定番だと思う。
「そういえば、出水は遠征行くんでしょ?」
「一応、太刀川隊だからな」
「それって唯我も?」
「アイツが遠征行ったら死ぬだろ」
「ひどいな」
「まあ、確かに死ぬな」
みんな唯我に対する態度酷すぎ。
かと言って、私もそんなに良い態度とってないけど。
「ほら、焼けたからじゃんじゃん食べて」
「さすが高級焼肉店……超美味い!!」
とか言いながら、財布持ってきてない米屋が一番食べてる。
米屋の隣に座っている出水はそれを見て引いてるし、実際私も少し引いてる。
タダ飯食らいとはこういうことなのだと思った。
「朔、食ってるか?」
「食べてるよ」
気を使ってると思われたのかな。
男の子の食べる量に到底敵わないが、それなりにたくさん食べている……はずだ。
「……楽しいなぁ」
と呟いた。
というか、声に出してしまった。
「また誘う」
「あれ、聞こえてた?」
「バッチリな」
「そっか」
「俺も朔ちゃん誘う!」
「誘うからには米屋が奢ってよ?」
「うっ……それは割り勘でお願いします」
「あはは、冗談だっつーの」
米屋には無理な芸当だな。
「そういえば、また今度は抜き打ちでテストあるっぽいよ」
「げっ!」
「米屋、また泣きついてくるの止めてね」
「えー!!?」
「少しは自分でしろよ……」
「弾バカ助けて」
「自分でやれ槍バカ」
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