私の彼氏の出水公平は、世間一般の普通の男子高校生である。
変わったことといえば、お互いがボーダー隊員であることくらいで、後は至って普通の恋人同士である。

「なぁ、次の休み被ったら俺の家に来いよ」
「うっ……なにするつもりですか」
「なにって、そりゃあナニだろ」

ニヤリと笑う公平。
知ってましたけど!!?

「……公平が家に来いって言うとき、大体そうじゃん」
「健全な男子高校生だから、仕方ない」
「普通にデートがしたい」
「え、いいけど?」
「いいの!?」
「真愛はどっか出きたいんだろ」
「う、うん」

あれ、公平が優しい……だと?

「まぁ、家だといつ親が帰ってくるかわからないもんなぁ」
「ちょっと待て」
「ん?」
「公平どこ行くつもりなの?」
「映画でも見て、そのあとしっぽりしようかと」
「……うん、映画の後いらなくない?」
「溜まってるから、お願いします」
「普通にデートの意味を誰かに聞いてこい」
「だってさぁ」
「いい加減にしないと、春秋兄さんに言うからね」
「ちょ、それはズルいだろ」

私の切り札、従兄弟の春秋兄さんだ。
さすがの公平も春秋兄さんには頭が上がらないみたいだし、名前くらい使っても春秋兄さんは怒らないだろう。

「悪かった!だから東さんだけには言うなよ」
「……それ本当に思ってる?」
「思ってる!」

この前の誘い方もちょっとおじさんみたいで嫌だったんだよなぁ。
なんだよ、食べちゃいたいって。
冗談にしろなんにしろ、お前そんなキャラじゃないだろう。
それに流される私も私だが。

「普通にデートしようね、公平」
「はい……」

その後、米屋から聞いた話だが、公平が異様に春秋兄さんのことを恐れていたのは、春秋兄さんが公平になにか言ったらしい。
最強は春秋兄さんである。

(真愛が嫌がることをして、東さんの耳に入ったら二宮さんたち連れて俺が殺される)
(東さん、真愛のこと猫可愛がりしてるもんなぁ)
(バックが怖すぎる)





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