幼馴染みの出水公平は私の親友の彼氏である。

そして、私の好きな人でもあって一生結ばれない相手だ。
何故なら、親友が4年前の近界民の大規模侵攻で死んでしまったからだ。
公平は親友のことを深く愛していたから、その後は浮いた話はひとつも無かった。
私と公平は2人ともボーダーに入って、私はB級隊員、公平はA級の太刀川隊の一員になった。
部隊を組まないか、と誘いを受けたこともあったけど私はその気になれなかった。
どんどん遠くなる公平とのキョリ。
私といると親友を思い出すからか、故意的に避けられていることは知っていた。
公平自身、上手く隠せるような人ではないから。
私はそれでもよかった。
公平が笑って過ごせているなら、わたしはそれでいい。
私といて、悲しい思いをするくらいなら私のことなんて忘れてくれていい。
それに、公平の弱みにつけこんでまで公平と恋人になりたいなんて思う前に私から離れてくれて助かった。
そんなズルい人間になりたくなかった。
忘れられるのが本望とでも言うのかなあ。

だからね、公平。

「泣かないで」

忘れてほしいのに。
なんで泣くかな。
頬に公平の涙がたくさん落ちてくる。
あーあ。
そんなに泣いたら目が溶けちゃうよ。

「……なん、で。換装解いてまで……っ俺のこと庇ったりなんか」

公平に生きてて欲しいんだ。
私の我儘。
息がだんだん浅くなって、視界がぼやけていくのに、公平の声はしっかり聞こえている。

「真愛まで置いていくなよ……っ」

追いかけてきちゃ、駄目だよ。
公平なら強く生きられると、信じている。
だから、公平。
私がもし黒トリガーになれたら。
公平に使ってほしいな。
難しい話だけど。


あとがき
この後、出水はそれでも生き続けるのだと思います。
出水は主人公の本当の気持ちを知らない。
文章力がこい。




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