「課題が終わらない!!」

昔から頭は悪くない方だった。
だから、地元の進学校に進学したのはいいんだけど。
頭のいい学校になればなるほど、課題の量は比例して増えていくのだ。
昔からコツコツと勉強するのが苦手だった私は、課題なんかはよく溜めてしまう。

「助けて透くん!」
「自分でまずは解いてみなよ」
「うっ」
「真愛は頭悪くないんだから。時間さえあれば解けるだろ」
「時間があれば、でしょ?」

時間がないから手伝って欲しい。
そりゃあ、後回しした自分がわるいんだけど。

「やる気が出ないもん……無理」
「じゃあ、今学期の真愛の成績が下がるだけだな」
「うっ」
「長期休暇が補習になったら困るのは真愛だろ」
「でも……もう無理だもん。間に合わない」

私のやる気は0%。
雰囲気は既にお通夜ムードで、私の頭の中ではドナドナが流れている。
透くんといっぱい遊びたかったけど、自業自得だから仕方ない。

「……本当に間に合わないのか?」
「透くんが手伝ってくれればギリいける」

と私が言うと、透くんは大きくため息をついて

「じゃあ手伝うから、もう少し頑張れ」

と言ってくれた。

「真愛には甘いくせに、って米屋がボヤくだろうな」
「いいじゃん。実際そうなんだから」
「煩い。口じゃなくて手を動かせ」

と、透くんにデコピンされた。

「ごめんなさい……」
「いいよ。ほら、ここの問題はできるだろ?」
「うん。大丈夫」

それから、黙々と課題を消化していった。

「終わ、った……!」

燃え尽きたぜ、真っ白にな。

「次はもうちょっと早めに手をつけるようにしてくれ」

透くんも疲れたのか、そう言いながら目薬を差している。
目薬差すところも絵になるってイケメンってズルいね。

「うぅっ……私1人じゃ無理だよ。計画性ないもん」
「コツコツ課題するの苦手だもんな」
「本当にそうなんだよ……」

自分の性格が恨めしい。
直そうとは努力してみるけど、三日坊主ならぬ絵に描いた餅レベルで実行できない。

「……分かった。次から俺が課題するとき一緒にしような」
「……それなら頑張れる、かも」
「じゃあ頑張ってみるか」

と透くんは言うと私の頭を撫でてくれた。

「……少しやる気出た」
「それはよかった」
「だからまた頭撫でて?」
「それくらいならお安い御用だ」



お題配布元.確かに恋だった
『世話焼きな彼のセリフ』



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