緑川駿くんとは中学生でありながらA級のボーダー隊員で、いわゆる天才という奴だ。

「真愛さん」

なんて可愛く呼ばれれば、なんでも緑川くん言うことを聞いてしまうくらいには自分の可愛さを分かってる小悪魔でもある。

「俺、真愛さんのことが好きになったみたいです」
「ふぁっ!?」

エマージェンシー。
頭ん中がパンクしそうだ。
今、この子は私のことを好きと言ったのか。
それだけダメだ。
仮に付き合ってみろ、この子は中学生。
周囲に知られでもしたら、私は速攻警察のお世話になる。
確実に捕まっちゃうじゃないか。

「み、緑川くん?」

出来れば、冗談だと言ってくれ。
じゃないと、私がやばい。

「もう1回言おうか?真愛さんが好きです」
「う、うん。それは聞こえてる」
「じゃあなんで聞き返したの?」
「だって、冗談じゃなかったら私が警察に捕まっちゃうじゃん」
「?」

こういうのはなぁ、年上がいつも悪くなるんだよ。

「万が一、私と緑川くんが歩いてたら確実に補導されるよ」
「本当ですか?」
「本当です」

緑川くんは中学生と言ってもまだ可愛らしい見た目だから。
余計私の変態臭が増すことになるのだ。

「じゃあ、俺が真愛さんの身長越したら付き合ってください」
「はっ!?」
「真愛さんが言ってることは要するに、年下って見えなきゃいいんですよね」
「そ、そうだね?」

と返事するが、本当にそうなのか?

「絶対真愛さんの身長を越してみせますから!」
「あ、はい」
「それで真愛さんより俺が強くなったら結婚しましょうね!」
「それは性急すぎやしませんかね」
「そうですか?」
「確実に」

この年で結婚とか言っちゃう緑川くんが怖い。
とんでもないピュアっ子なのか、計算なのか。
おばちゃんには分からないよ。

「今はここで我慢します」

可愛いリップ音を立てて頬にキスをされた。

「えへへ、奪っちゃった」

私が純粋な子が好きだと知っててこんなことするのか……!?
容赦ねーな。
誰か変わってくれ。

「私はまだ捕まりたくない……」
「いずれは俺に捕まるってこと?」
「捕まらない!!」


お題配布元.確かに恋だった
『豹変した年下の彼のセリフ』






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