「奈良坂」
「なんだ」
「これなーんだ」
「写真だな」
「そうだね。これ、誰?」
「真愛」
「うん、私だね。で、なんで私は写真撮られてるのに目線がこっち向いてないのかな?」
これって、いわゆる盗撮でしょ?
「上手く撮れてるだろ」
待って、コイツ反省してない!!
「上手く撮れてるとか、撮れてないとかそういうのじゃなくてさぁ」
なんで、わざわざ盗撮してんだって話ですよ。
「知り合いだから、まだこうやって理由聞いてやってるけど知らない人に盗撮されてたら、即警察行きだからね?」
「真愛盗撮されてるのか!!?」
お前にな!!
「……自分がしてること、ちゃんと理解してるの?」
「真愛の写真を撮る、簡単なお仕事です」
「……うん。もう、いいわ。話通じないし」
奈良坂が盗撮の自覚がないのだけは分かった。
コイツ、いい学校行ってるのに馬鹿なのか?
米屋とかに毒されてるのだろうか。
いや、こんな奴と一緒にされる米屋が可哀想だ。
アイツは常識は一応持ち合わせてるはずだ。
「奈良坂、写真が撮りたいなら私に許可さえとってくれれば別に何枚でも撮っていいし」
まぁ、同じ写真を何枚も撮られるのは精神的にキツいものがあるが。
「そんなどこ向いてるか分からない写真より、ちゃんとこっち向いてる写真のがいいでしょ」
「いいのか?」
「盗撮されるより全然マシだよ」
無表情の奈良坂の目がなんだかキラキラして見えるのは何故だろう。
普段は魚が死んでるような目してるのに。
「……頼めばお風呂とか撮らせてくれるのかな」
うん。
それは頼んでも無理だから諦めようね。
「つーか、もう面倒だな。奈良坂ケータイ貸して」
「あ、うん」
「ほら、こっち向いて」
友達と自撮りするみたいにくっついて、1枚だけ写真を撮った。
「はい。当分の間はこれで我慢して」
「……俺の部分だけトリミングできるかな」
「なんでわざわざトリミングするの!?」
お題配布元.
確かに恋だった様
『変態に恋されてしまいました5題』
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