「…れいさん。」
「ん?」
「……これ、受け取ってくれますか。」
少し固い表情を浮かべた彼が差し出したシンプルな袋を受け取る。少し大きめなそれの中身が気になり、開けてもいいか彼に問いかける。もちろん、と了承の返事をもらったところで中身を取り出してみる。
「わ、かわいい…!」
袋に入っていたのは花を持ったうさぎのぬいぐるみ。ピンクの可愛らしいうさぎと目があってつい微笑みかける。
「…気に入って頂けました?」
「はい…!」
「良かった。」
「でも、なんで…?」
昨日がお誕生日だった彼へ、私がプレゼントを渡すならわかるが(現に渡したし)、記念日でもなんでもない日にどうしてこんな贈り物を?と不思議に思いつい問いかける。
「…お話があって。」
「はい、なんですか?」
腕の中にいるうさぎから彼へと視線を変え、そのままじっと見つめる。先程と同様に少し強張った面持ちの彼に、なにか大切な話なのかなと思いこちらも真剣に言葉を待つ。
「れいさん。」
「はい。」
「…私と、一緒に暮らしませんか。」
「………え?」
「仕事が立て込んだり忙しい時期に少し家を空けてしまうかもしれないのですけれど、」
「くら……えっ、まって?」
思ってもいなかったことを告げられ動揺してしまう。まって、今なんて言った?
そんなふうに動揺してあわあわとする私が落ち着くのを待つかのように彼はこちらを見つめながら黙っている。多少落ち着いたところで再度彼と視線を交わらせると、それでは続きを、というように話し始める。
「れいさん。一緒に、同じ家であなたと同じ時間を共有したいです。一緒に暮らして頂けませんか?」
「っ、え、ほんと……?」
「こんなこと嘘で言うはずないでしょう。」
「…わ、私でよければ…。私も、一織くんと一緒に暮らしたい…。」
そんなこと言われると思わなかった、と呟くとそれを聞いていたらしい彼がそれらしきことを何度も匂わせたのに…とぶつぶつ文句に似たことを言っていて笑ってしまう。
「なに笑っているんですか。」
「ひゃっ!なんれ最近ほっぺたひっぱるんれすか!」
「ご自分で考えては?」
続けて鈍いあなたのせいでしょ、と答えを漏らす彼。なんとなくそれは察していたけど、まさかこのタイミングで言われるなんて誰がわかるんだ。そう思いながらも先程の彼の言葉を頭の中で反芻し、ついふふっと笑ってしまう。そんな私の様子を見た彼は今度はなにに笑っているんですか…と少々呆れ気味に問いかけてくる。
「……なんだかプロポーズみたいでどきどきしちゃいました…えへへ…。」
「プ…っ、それはまだ待ってください。」
「うん、まだね………まだ!?」
「はい。まだ、です。」
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