003

「よお、お前遅かったな。」
体育館に入ると倉持が声をかけてきた。
曖昧な返事をして、青いラケットと白いシャトルを手に取る。
「クジ引いてダブルスだってよ。」
と、倉持が言うので、クラスメイトの体育係からくじを引いて、ペアの相手を探した。
「2番いるか〜?」
声を上げると、ペアは岡田圭介だった。聞くと岡田はバドミントン部らしく、ラケットを小刻みに降って器用にシャトルをドリブルしている。
「1番〜!」
倉持が大きな声を上げて引いたくじを振って見せると、女子が一人駆け寄ってきた。
「あの、私、1番……。」
遠野だった。遠野は俺をちらっと睨み、倉持の元へ駆け寄った。倉持は見てわかるほどにどぎまぎしている。面白くなくて、俺は遠野に向かって呟いた。
「よお、ピンク。」
「は?」
倉持が目を丸くする横で、遠野は持っていたラケットをゆらりと構え、俺に向かってシャトルを飛ばした。狙ったのかそれたのか、俺の肩口をシャトルがスパッと貫いた。正直肝が冷えた。
「あっ……ぶねーだろうが!」
ふん、と遠野はそっぽを向き、倉持の腕を引っ張った。
「いこ、倉持君。よろしくね。」
「お、おう……。」
くそ。面白くない。倉持の横顔は情けないくらい真っ赤だ。

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