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どれくらい闇の中を進んだろうか。前方に灰色の壁が見えて、田村の足が止まった。
「行き止まり……?」
苛立つような声をもらす田村から距離を置くように、橘は一人壁に近づいて行った。
「あ…曲がり角です。道が続いています。」
橘が指を指すので、田村は慌てて駆け寄った。
「なんだ、本当だ……。」
安堵するような声を聞いて、橘は胸をなでおろすとともに呆れた。
行きましょう、と田村を促そうとした、その時だった。前方の闇の中から、ぽつんと頼りない光が現れた。
田村も橘も立ち尽くして身構えた。光は闇の中にポツンと浮かんでいる。
「……行ってみましょう」
橘が呟いた。


まっすぐ光に向かって進んでいくと、その光にだんだん近づいてきた。
「! 待て、誰か……!」
田村が橘の腕をつかんで立ち止まらせた。橘が、光の後ろに人影を見たのは同時だった。まさか、自分たちをこんなところに閉じ込めた犯人――。そう最悪の事態が浮かんだ瞬間だった。
「……誰!?」
女の声が響いた。
「え……!?」
田村が震える手で人影を照らすと、まぶしそうに目を細める東条と、その腕にしっかり腕をからめ、背後に隠れる藤川の姿があった。
「あ……橘さんと、田村さん?」
東条が懐中電灯を下げて言った。
「なんだ……お前たちか」
田村も懐中電灯を足元に下げた。
「道がつながっていたみたいですね。ここまで一本道でしたか?」
「はい。」
東条の問いに橘が頷くと、こっちもです、と東条が言った。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ?行き止まりじゃん……。」
田村が心底うんざり呟いた、その時。
橘の足に、ひんやりとした何かが這った。
「ひゃっ!?」
思わず叫んで、
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