ALICE+
2017/05/07 18:22
エールは欲を照らし出す
エールは欲を照らし出す/agnello様のトリスタン、ランスロット、ブリジットちゃんをお借りしております。
非常に残念な下ネタを真剣に話す円卓しか居ません。(2度目)
本来、英霊には食事は必要ではない。
しかし、気分を満たすという意味では非常に重要なものであり、また生前好きだったものは変わらず好きであるのが英霊というものである。円卓の面々はそれぞれの好みの食べ物はあれども、それぞれ酒を好んでいた。激しい戦いの後に飲むエールは格別というものだろう。
故に、このカルデアでも時々飲むことがあった。気分を満たす為には酒は持ってこいだと言えよう。その結果、バレンタインデーの時のような珍事件も起きてしまったのだが――後悔はしようとも禁酒をすることなど誰も考えてはいなかった。
そして今日もまた、前回酔った挙句ダ・ヴィンチ達にそそのかされてCDを作り上げてしまったトリスタンと、彼とよく酒を飲む仲間であるランスロット、そして珍しくそこにガウェインも参加していた。
ベディヴィエールを誘わなかったのは全員、何処かで良心を穢してはならないという認識が働いていたからであろう。
普段は騎士として名高い三人であるが――酒に酔って理性が溶けだすと、何を口走り始めるのか。それは女性陣にはとても聞かせられないような話だった。
そもそも、トリスタンとランスロットは過去も、そしてまた現在も背徳的な恋愛をしているし、ガウェインは過去のトラウマの反動で自身の性癖に合致した女性に恋愛をしている。
召喚された時、過去の過ちは繰り返すまいと自戒していた筈なのだが――結局、繰り返してしまう。しかし、特にトリスタンとランスロットは、彼女でなければそのような感情を抱くことも無かったし、また自身の業の罪悪感を誰かに慰められるとも思っていなかった。歴史を繰り返した、というよりも己の過ちや脆さを許されたのだ。
「一つ聞きたいのですが、トリスタン卿はミス・ブリジットどういう所が好きなのですか?」
「いいですね、恋愛話ですか。卿から話を振るのは珍しい」
「私もそういう話をする時はありますとも!……トリスタン?」
「いえ、ふふ、ブリジットの好きな所ですか。まとめるのが難しいですね」
ガウェインはすりつぶした芋を摘まみに、エールの入ったグラスを傾けて喉の奥へと流し込む。酔いが回ってくるこの感覚は、やはり心地が良いものだった。
全員既に酒が回っている状態で、普段だったらあまり口にせずに誤魔化してしまうような自信の恋愛話まですらすらと語り出してしまうような状況なのだから、酒というものは恐ろしいものだ。
トリスタンは、普段だったらブリジットとの仲をあまり語ろうとはしない。何時もその飄々とした態度で「さぁ?」と誤魔化すのだが、上機嫌になってしまっている上に、旧知の仲の友と飲んでいると自然と口も軽くなるのだ。
「ブリジットは仕事熱心なあまりに一見素っ気なく見えてしまいますが、困っている人を放って置くことは出来ない優しさに満ちていますね。そういうギャップは非常に良いと思います」
「えぇ、トリスタン卿の言う通りですね。彼女は情けない弱音も……受け止めてくれますから」
「あぁ見えて押しに弱い所も魅力ですね。悩む人間を受け止めた後、こちらが彼女を女性として見て距離を詰めると、慣れていないのか恥じらう顔を見せてくれる所も好きですね」
「なるほど、悩む人間を受け止めるという所はパスカも同じですが、その方法だとか、距離感はまるで違うのですね」
性格も大きく異なるから、悩んでいたり、抱え込んでしまっている自分達のような英霊を受け入れて宥める方法も違う。それもそうか、とガウェインは納得する。何せ、ブリジットは人に甘えるのが苦手で、カウンセリングも得意とする彼女なりに人を甘やかすのだ。
一方、パスカはと言えば人に甘えるのが好きであるけれど、甘えながらも人の本質を見極めて甘やかすタイプだ。
「しかし……不思議に思っていたのですが卿らにしてはカルデア職員に手を出したりはしないのですね」
「ふふ、ガウェイン卿は私達を勘違いしていますね。確かに困っている若い人妻は放っておけませんが、私にはそれ以上に大切にすべき人が居るので」
「彼女は人妻でもないですし、マスターですし、聞いた時は意外だと思いましたが」
「それはこちらの台詞だと思いますが……ガウェイン卿は主の前ではただの騎士であろうとする。我欲など見せることは恥じていた筈なのに、ミス・パスカに手を出すとは意外でした」
トリスタンは視界の動きが鈍くなってきたのを無視して更に酒を煽りながら、パスカ殿はガウェイン卿の性癖には合致する方でしたが、と付け加える。
トリスタンの指摘も尤もだと笑いながら、ガウェインは自分の頑なな騎士の価値観が変化した経緯を思い返す。彼女でなければ、ガウェインらしい個性を、個人の欲を見せることなどしなかっただろう。
自分の我侭だからと言って全てを受け入れる年下の少女の存在が、ガウェインの願望に僅かながら変化をもたらしていた。完璧な騎士になるという目標は変わらずとも、何をもって完璧というのか――それが、僅かに変化していたのだ。
「はは、パスカ自身が私の欲も受け入れてくれるのですから、それに応えなければ男ではないでしょう?欲求不満知らずというものですね!」
「こんなにも煩悩を素直に語るというのに、イメージだけでガウェイン卿だけは恋愛ごとに誠実だと思われているのが羨ましいというか狡いというか」
「私はパスカに誠実に愛情を向けていますよ?その上で欲を彼女に見せるのは不誠実とはまた別のこと。ランスロット卿、貴方のようにカルデア職員を誑かしたりなどはしませんから」
「しかし、彼女が居なければ今の私はいませんでしたから後悔はしていませんよ。彼女のような人がこれまで男性に縁が無かったというのも驚きですが、それも含めて運が良かったかもしれませんね」
「えぇ、そうですね。もし他の男が彼女を暴いていたら……あぁ、それはそれでその記憶を埋め尽くように抱くのも興奮しますね」
「はは、まったくです、トリスタン卿」
上機嫌な様子でトリスタンとランスロットが同意を示して笑っている姿に、ガウェインは酒で鈍ってきた思考の中でも、引っ掛かる点があったのか疑問を覚える。ランスロットはカルデア職員に手を出したという話を否定しなかったし、何故かトリスタンもその相手を知っているようだった。
けれど、そのランスロットの相手を抱くことに興奮を覚える旨を話すトリスタンには、マスターであり想い人であるブリジットが居る筈だ。しかし、そこでガウェインは或ることを思い出す。ブリジットは確かにマスターであるが、それ以前にカルデア職員であることを。
「ん?」
「はい?」
「何でしょう?」
「……、貴方達まさか二人でミス・ブリジットを」
「愛があるならば、些細な問題ではないでしょうか」
「なんと……そのような背徳的な関係を築いていたなんて……貴方達の価値観が私には分かりませんし、同意を示せるのはケイ卿位でしょうが……」
恋愛話に関して堅物ではないガウェインと言えども、流石にそのような背徳的な恋愛はしない性分故に、反省の意など全くないトリスタンとランスロットを見て、呆れを通り越して流石だと思わざるを得なかった。
互いに知らずに彼女に好意を寄せて身体を重ねていたのならまだ分かるが、この二人は知っているのだ。その上で三角関係を認めて受け入れているのだから、円卓の中でも随一と言われる恋愛歴であるこの両者は自分の価値観では計れない、とガウェインは再認識をする。
「しかし、根本的な疑問ですがトリスタン卿は魔力供給も兼ねているでしょうが、ランスロット卿は立香のサーヴァントでしょう?」
「目の前に愛おしい人が居て、理由がなければ抱かないなど、愚の骨頂では」
「……聞いておいてなんですが、珍しく貴方と意見が合いましたね、ランスロット卿」
「はは、今ならガウェイン卿と楽しくチェスも出来そうですね!」
つまりランスロットは魔力供給をする為にブリジットを抱いているのではなく、男としての性欲を満たすためだけに彼女を抱いているということだ。ガウェインとしてもその感情は理解できるのか頷いて同意を示す。
そしてまた、愛情を向けている女性が同じトリスタンも、ランスロットの話にやはりそういう価値観は合いますね、と同意を示しているのだからもはやストッパーとなる人が居ない。酒のせいでもはや止まるものも止まらなくなっているというのが正しいが。
「余りにも頻繁に身体を重ねると流石に疲れると言われますが、男として無防備に煽ってくるパスカに欲情してしまうし、受け入れて頂けるので本能のままになってもいいかと思うのですよね」
「ガウェイン卿は流石に昼には自重すべきだと思うのですが……」
「いえいえ、昼は三倍ですから有効活用しませんと!普段は誰にも振り回されず、振り回す彼女だからこそ、私の下ではただの女性になって、一から教え込めるのが最高ですね」
「あぁ、……とても分かります」
「ブリジットは医学の知識として知っているものの、実際の行為に関しては初心ですから、教えることに困惑しながらも為すがままになっているのは堪りませんね」
「流石、意見が合いますね、ランスロット卿」
全員が一から性交を自分好みに教えていくことは堪らないと言っているこの価値観は如何なものかと突っ込む者も居ないのだ。ランスロットとトリスタンにとっては人の身体を診る立場で、知識はある彼女に羞恥心を植え付けながら身体を暴いて一人の女性にするのが堪らなく興奮するし、ガウェインにとっては普段は人を振り回してばかりの年下の彼女が揺さぶられて余裕もなく縋ってくるのが興奮するのだった。
「ブリジットは普段あまり人に頼ろうとしませんし、一人でかなりの負担を抱え込もうとしますからね、だからこそお願いをしてくるのは堪らないのですよ」
「分かります……しかし、彼女を甘やかすのが貴方でしたら、私は甘やかされている立場なのでしょうね。羨ましさもありますが、同じでは楽しみもないですから受け入れましょう。甘やかされるのもまた、奉仕して貰える特典もありますし」
「おや流石にそれは羨ましいですね……、そういう手もありましたか、私も今後は積極的に頼んで甘えることにしましょう」
「私もランスロット卿に見習って甘えることをもっとした方がいいでしょうか」
「貴方はこれ以上甘えると忠犬どころか駄犬に成り果てそうですね……パスカ嬢は無限に甘やかしそうですし」
ただでさえ現時点でかなりの頻度で、性行為をする時は殆ど必ず振り回されるだけは嫌な奉仕をしてもらっているというのに、これ以上を望もうとする純粋な我侭は、主人に似てきたのかもしれない。
しかし、ガウェインから言わせれば、この二人の愛情よりはマシだろう位ということだった。何せ二人の、癖のある男に抱かれる彼女を考えると、その苦労は並ではないだろう。
「貴方達二人の性癖に付き合うブリジット嬢は、大変ですね。受け入れることを考えても、性感帯を開発されることを考えても」
「……、そこまで変なことをしている自覚はありませんが」
「何ですか今の間は」
「そうですね、彼女の使用する白衣に精液の匂いが付くのは大変興奮しますが」
「なるほど、服に匂いを……自分の服を着せる行為が出来ないのは私達騎士の哀しい所ですね。甲冑は聊か色気に欠けてしまう。マント位ならば身体に掛けられますが」
「えぇ、まったくです。私は悲しい……色んな礼装を着てもらって楽しむしかありませんね。ブリジットはあまり衣装を変えようとしませんから。」
「そうですね、私も学生服……セーラー服というものだったでしょうか。あれを着たパスカと一度したいですね」
「ガウェイン卿……」
「何ですか、その目は」
二人の生暖かい眼差しに、ガウェインは何故そんな反応をされているのだろうかと疑問符を浮かべるが、外見年齢は二十代半ばの青年だというのに、ただでさえ未成年のパスカを、女子高生の姿にして犯したいとでもいうような趣旨に、ロリコンの気があるのではないかと思わずにはいられなかった。
しかし、自分達も人妻が好きな一面があり、自覚した上で三角関係をしている以上、ガウェインの性癖も円卓らしいと開き直るしかなく、取り敢えず飲もうとそれぞれのグラスに酒を注ぐのだった。
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