本当は今すぐ会いたい
「もしもし」
「もしもし」
電話越しに聞える君の声は少し弱っていて、最近多忙だったから疲れているんだろう。
「どうしたん?」
「ごめん、遅いのに」
「それはいいけど、なにかあったん?」
もう少しで君がずっとやりたいと言っていたことが行われる。そのためにほとんど休まずに働いているという。
「思い通りに全然いかなくて」
「うん」
「しんどい……」
「うん」
私もやりたいことやれたからその気持ちわかるよ。やりたいことをやるためには楽しいことばかりじゃない嬉しいことばかりじゃない。時には自分を押し殺してやらないといけないときもある。
「あと一日経てば本番だよ。たくさんの人が来るんでしょ。辛いのわかるよ、でもここで崩れたらだめ」
「うん、ごめん」
本当はもっと甘やかしてあげたい。これまで頑張ったねって。辛かったねって。でもそれはそれが終わってから言うと決めている。
君は一度崩れると、立ち直るのに時間がかかるから。今は甘やかしてはいられない。
心の中でごめんね、と謝りながら私は続ける。
「成功するかな、来てくれた人みんなを楽しませることできるかな」
「大丈夫、絶対にうまくいく。大丈夫、大丈夫」
「ありがとう、本当は今すぐ会いたい」
「私も会いたい。でも今は会えない」
「絶対に成功させる、だから……成功したら頼みこときいて?」
「いくらでも聞くから。明日準備頑張って明後日明々後日は思いっきりやるんやで」
「ありがと」
「おやすみ」
絶対にうまくいくから。
だって私は君の努力を知っているんだもん。
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