このほの7話あとがき

というか、7話“まで”のあとがき。

「珠は転がり掌に」というタイトルは、「掌中の珠」という諺からとりました。掌の中に無かった珠が帰ってきたのですね。

主人公は6話の最後に気を失ってしまったので、ここで初めて一人称視点ではない書き方をしてみました。あまり文章の視点をころころ変えるものではないそうですが、筆者が楽しいのでOKということにしましょう。
そしてここまでにまたオリキャラが登場しました。源信長老と喜之助と御厨(みくりや)さんがそうです。けっこう頑張って設定を練り込んだので、この先それをお伝えできるように精進して参ります。

さて、確か劇場版一作目では「現世で死んで流魂街に来て死神になった者は現世の記憶がない」みたいな設定があったかと思うのですが、本作では採用していません。インコのシバタくんなんて現世でのことはがっつり覚えてますし、もし彼が死神になったらすっぽり記憶がなくなる、なんて考えづらいので……。

お話を書くのって、すべて最初の予定通りにとはいかないものですね。少年檜佐木さんを助けることはしてもまさか鯉伏に連れて行っちゃうなんて考えてなかったし、“隠れる力”で安全なところからこそこそ覗いてたのに浦原さんに激突するとも思ってなかったし、モブ流魂街の民を虚から助けるはずの場面で少年岩鷲を助けることになったのにも驚きを隠せません(筆者なのに)。斬魄刀もたーだ落ちてるやつを拾うはずだったんですが、頭の中の一角さんに「そんなにごろごろ斬魄刀が落ちててたまるかよ」って叱られたのでああなりました。
不思議ですね。自分の頭の中なのに、文章って生き物みたいです。挙げたところ以外はおおかた予定通りにできたかな、とは思いますが。

相棒の白鳶については、モデルになったキャラクターがいる、と強いて言うなら筆者の一次創作キャラクターです。江戸時代風の世界観で、市街から離れた獣道しかないような山奥に小さな神社があって。迷い込んでしまった幼い少年を導こうと、土地の神様が人の形をとって姿を現します。その神様は動物たちとも仲良しで、その中に鳶もいました。人も動植物も好きな優しい神様なんですが少し抜けていて、鳶なのに「タカちゃん」なんて名前を付けて可愛がっているのです。
その神様とタカちゃんが混ざって更に斬魄刀の能力とかいろいろ案を出して掛け合わさって生まれたのが“相棒の白鳶”というわけです。モデルといっても性格は全然違ってるかな……。筆者は神様仏様や人の心の動きをテーマにした古い説話などが好きなので、その影響も色濃く出ているのではないかな?と思います。
斬魄刀としての相棒の名前や能力はまだまだ謎が多いですが、じっくり解き明かして参る所存ですのでお楽しみに。

この7話でちらりと登場した山田清之介副隊長は、公式キャラクターブック2の表紙を開いてすぐに綴じてあるピンナップにいらっしゃいます。百十年前の護廷十三隊の隊長副隊長を一目で確認できるので重宝しています。ほぼここでだけの登場だったのに、まさか原作完結後のノベライズにて喋るとは思いませんでした。気になる方は檜佐木さんが表紙の『Can't Fear Your Own World T』を読んでみてください。

言及する内容が見事にバラバラだ……これは「あとがき」として成立しているのだろうか……

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BLEACH 2018/06/02
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