星を見た。
鰤公式ノベライズ『 Can't Fear Your Own World �V』読了しました。余韻に浸りつつ、醒めないうちに拙速に感想など綴ります。以下、当然のようにネタバレに配慮いたしません。かといって『 Can't Fear Your Own World �V』を読んでいないと何のことだか分からないふわっふわした文章になってるかも。拙い読書感想文のために時間を捧げる覚悟はおありですか?
「いいえ ◀
NO 」
因みにどっちを押してもトップページに飛ばされるだけ。さて、下らない前置きはこの辺で終わらせておきまして。
『――「貴方はまだ、星を見たことがないだけよ」』
歌匡さん、一片の穢れもない聖人が如きお方でした。東仙さんにとっての光になるのも頷けます。ただその光とは正反対のどす黒い闇がよりにもよって……。東仙さんの運命を捻じ曲げたのは時灘という男。その所業を知れば、何者が見ても悪と断じられるほどの曇りなき悪。しかし、本当にそいつ一人だけのせいか。泥に塗れた理由で婚礼を命じた綱彌代家の者全てが悪だったともいえる。果ては、彼女にその婚礼の理由となる、恐らくは霊王の一部が宿ることとなった原因を作った綱彌代の祖こそが元凶かもしれない。そうなると、やはり祖の裏切りによって築かれた世界そのものが、彼女を殺したといえる。世界そのものが、東仙さんにとっての悪。はぁ、なるほど。こう繋がるのか。いや、自分でも色々端折った感ありますけど。
時灘は、誰かのために行動することを“負け”と認識するような人物なのだなぁ。最後まで己のため、享楽のため(京楽じゃないよ)だけに行動する。誰かのために行動しようと思える何かしらの原動力とその尊さ、美しさを歌匡さんは『星』と喩えたのでしょう。「時灘にもどうか星が見えますように」と彼女が幾ら雲を取り払ってくれても、余計なことをするなと言わんばかりに煙を焚き、雲を払おうとする清廉な風すらも汚そうとするのがこの男。真性の悪、独、毒である時灘には彼女の願いは終ぞ届かなかった。
でも、時灘に造り出された玩具であったはずの彦禰は、主と同じ轍は踏まなかった。主人公檜佐木さんのおかげで。檜佐木さんは彦禰に広い世界を見せるためだけに、一体何度死んだことか。彦禰とは、親子でも友でもない。施薬院で初対面し、少し話しただけ。強いて言えば未熟だった頃の己と似た部分を感じたり何だりしなくもなかったが、それだけだ。だのに、誰かのために行動するその極致。更木隊長にああ言っちゃうとか、そこでも死んでたかもしれないというのに。普通ならそこまでやらないってくらい、良い意味で愚直で頑固な檜佐木さんでした。私の目にはあのときの檜佐木さんこそ『星』として目に映りました。
東仙さんは既に亡くなっているのに、この小説では生き返ったみたいです。その通りの意味ではなくて、一人の登場人物として、BLEACHの世界にその存在をより深く刻み付けたという意味で。ここまで掘り下げられるとは、『このほの』執筆し始めの過去の私に伝えてあげたいくらい朗報です。副隊長に就任する若い檜佐木さんへの指南、更木隊長と戦ったときにも言った“魔物”というものの定義、新しい世界には自分はいるべきでないという狂ったほど真っ直ぐな正義。ここまで丁寧に綴られても、彼を理解することは難しい。それでも、知ることはできました。
尸魂界、ひいては世界の罪深き歴史。たった五人の罪の上に生きる危うき律の三界の真実。あとがきで成田先生も語っていましたが、「な、何故(中略)本編で描かなかったのですか!?」とまず誰もが思うことでしょう。私も思考を捻らずポッと脳内に浮かび出た心の声は全くそうでした。しかしBLEACH本編の物語とはやはり“一護の物語”を指すのですね。納得するしかありません。……本音を漏らしますと、やっぱり久保先生の漫画で、絵で、台詞で、隈なく紡いで欲しかったという我儘も胸中にはあるのですが。一部界隈では「張るだけで回収されない伏線」だとか「連載終了したのに残された謎の数々」だとか揶揄されることも少なくありませんでした。しかし漫画本編だけでも、隅から隅まで読んでおけば、霊王の謎の答えと真実にそこそこ迫ることは可能なんですよね。実際、私もこの小説群を読む前に大方予想・想像していたことはほぼ合っていました。
死神。調整者。五大貴族。霊王。楔。世界の鍵。あんなもの。最初から誰も天に立ってなどいない。心臓。静止の右腕。前進の左腕。我は元より滅却師。永き屈辱。未来を見渡した我が父。
未公開だった斬魄刀の卍解とか誰かの生い立ちとか、小説でしか知り得ないこともあるにはありましたが、世界観という点に於いては本編でちらちら核心は露わになっていました。だから、世界観に限っては“後付け”ではなくあくまで“補完”をするのが今回のラストノベライズの役目だったという印象です。
双極で藍染が本性を現し、反膜に包まれながら昇ってゆく際に浮竹隊長と交わした言葉。私は終盤のミミハギ様のくだりを初めて読んだとき、その会話を思い出し「ハァーッそういうことかぁ……藍染は右腕のこと知ってた感じか……」と驚嘆したものです。成田先生もそこを拾ってくださったのが一ファンとしてとても嬉しかったです。
原作一巻からの流れを思い出してみてください。何だか、高校生がある日突然ドッキリ展開で死神になり、次々に強敵と戦って勝ち、護りたいものを護り、厨二心を擽る必殺技を敵味方共に繰り広げ……という王道少年バトル漫画的展開のおかげで忘れそうになりますが。死神。死神ですよ?虚を斬って浄化するんですよ?プラスのことは尸魂界に導くんですよ?マジで死の神ですよ?……するとBLEACHって創作神話じゃありませんか。
「完現術者の能力チート過ぎワロタ」とか「急に出てきた霊王ってなんぞや」とか、過去の我々は言ってる場合じゃなかったんですよ。混沌とした世界に降り立った唯一至高の全知全能を持った神がいた世界から地続きの後の世が物語の舞台であれば、人の理解の範囲を超える法則や、理すら崩す超能力があっておかしくなかったわけです。手足をもがれ臓腑を抜かれる前の意志ある霊王とは、紛れもなく神と言えたのでしょう。それが、五人の祖の裏切りによって楔と化され、あの形まで削がれてしまう。削がれた身体の一部は他の多くの霊子や魂魄の循環に取り込まれていき、その一部を宿した子が誕生することもある。神であったものの一部を宿しているとなれば当然、本来持つはずもない神同然の力を揮うことも出来る、となる。月島さんはじめ完現術者が軒並みあんな規格外能力持ちだったのも必然なのだ。世界そのものを変化させたり、働きかけたりしちゃうんだね、うんうん。
五大貴族の祖も生まれ変わったりしてるのかなぁ。してるんだろうなぁ。記憶は引き継いでなくても世界のどこかで普通の人間してるのかもしれない。虚かもしれない。死神かもしれない。循環するのがこの世界らしいからなぁ。志波家の祖の生まれ変わりではなかろうと、一護は子孫として何かしら継いではいるだろうとは思う。空鶴さんも言ってた「自分に悔いが残らねえと思ったことをやる」宿業とか。……気のせい?へへ、そこは浪漫ってことでひとつ。
和尚の発言から色々とイフ(if)も妄想してしまうのがオタク。一護か、または銀城が霊王になっていた未来もあり得たと思うと……余計に、こう、罪深さがひしひしと感じられるというか……贄はやだよね。でも贄になることすら受け入れていたらしい前霊王の御意思、寛大すぎやしませんか。流石はネ申。
緊迫する場面なんかでも『――……結構あるな。』とか『「なにしてるんだろうね、あの人……」』とか、急に砕けた内心が零れるの、嫌いじゃないよ。檜佐木さんに綾瀬川さん、君たちのことだよ。
というかだね、『副隊長の呼称を忘れて素の調子で檜佐木の名を口にする』弓親さん、『檜佐木クン』だと?ほらもう、すぐそういうことする成田先生!ありがとうございます!副隊長相手とはいえ、やっぱり経歴は檜佐木さんより長いだろうし歳も上だろうし?素の調子だとクン呼びとかしちゃう訳だね。サンキューユミチー、ありがたく二次創作でもその設定使わせていただきます。ただその呼び方がルキア救出編でバトった後からそうなのかそれより前からなのか。あ、個人的には特別仲が良いからとかじゃなくて、単に自分より年下で経歴も浅い相手だからクン呼びなんだろうなとは考えているのですけど。実は前々から、喜之助&修兵を色んな隊士と関わらせる捏造はやらかしたいなと思っていたので、公式設定が追加されるとつい舞い上がってしまうのでした。
ハリベル、ネリエル、ドルドーニの『3』トリオ、登場場面は短めでしたが良いものでした。ドルドーニが3だったって情報は初かな?103というナンバーは原作初登場時から明らかになっていましたが、下の桁がまんま十刃時代のナンバーだったとは確定していなかったと思うので。
十刃が司る死の形って、代変わりしても基本変わらないのですね。だからトリオは“犠牲”。前の巻でも出てたグリムジョーとルピは揃って“破壊”。それからこれは仮定ですが、チルッチは105だったから5、ガンテンバインは107だったから7だったとしたら、それぞれ“絶望”と“陶酔”ということになります。
骸部隊とか滅却師たちとか、この一行人数多すぎて活躍の場をちゃんと振り分けきることはできるのか……!?という心配も少しは頭を過りましたが、バッカーノとかDrrrを手掛けられた成田先生は大人数を活躍させることこそを得意とされている方なので杞憂も杞憂でしたね。怒涛の帰刃ラッシュとか最高でした。グリムジョーの『王』に対する執着とかその周りも組み込んでくださって感謝しかないです。アニメのシャウロンの声で余裕で脳内再生されますよ。『貴様が、我らの王となるのだ。グリムジョー。』とね。
雪緒はほんと何なんだ君……飄々としていても内には義理と矜持から成る熱いものが少しはあるんじゃないかって期待してしまうよ……そんなん……百パー自己利益のためって言われてもそれはそれで美味しいけど。浦原さんとのやり取り、モールスじゃバレるから二進法にしてオリジナルコード云たらって意味不明すぎるんじゃが。天才かよ。あっ、天才だったわこの人ら。
アウラさん……マ…ママ(彦禰の)!!綺麗にまとめてきましたね。愛。愛ですよ。しかしああいう覚悟をしていたうえでの二巻のマジっぽくドラゴンドッバーン!!だったというんだから凄いよね。それに引き替え銀城さんの大根役者っぷりったら……え、そこまではいってない?そかそか、でも私の脳内では時灘の前でボーッて演技する銀城がどうにも愉快だったから、つい。戦闘はカッコよかったですね。あの場にいたメンバーの中でも強者として描写されていて、何だか嬉しかったです。
そして銀城さんといえば、遂に浮竹隊長とのアレソレがおよそ明かされました。浮竹隊長は浮竹隊長でしたね。週刊連載中でも完結後でも度々黒幕説とかありましたのに、実際は温かいものばかりを遺していかれました。『双魚のお断り!』私も読みたい。あれ、でも銀城の出生についてはそういえば最後まで触れられませんでした。一護や彦禰と並んで霊王の素質・資格を有していたのなら、滅却師も混じっているはず。それが雨竜や一護と同じように滅却師の血筋だったということなのか、若しくは完現術者として生まれている時点で霊王(滅却師)の一部は具えているためにそれで充分滅却師も混じってるといえるのかもしれないし……謎。死神の力は誰に渡されたのか。それとも、一勇みたい(?)に生まれつきという可能性も無きにしも非ず。
時灘の、というより綱彌代家の斬魄刀って誰もが一度は考えるけどその能力を存分に描写するには執筆する己の技量が足りないので諦めるやつ……の筆頭じゃないですかーやだー。でも流石に上手い……巧いなぁ先生……。キャラクター達の台詞からその能力が明かされるより前に、斬魄刀マニアならすぐ気付けるような描き方。斬りつけられて重くなったとか傷が治るとかね。桜の無数の刃の辺りで読者全員がはっきり確信できるのもいい。やはりか!と。そして次はどんな斬魄刀を模倣してくるのか……と読み進めている最中、実は『土鯰』きたら面白いなぁとか考えてました。更には細かい所からネタ拾ってくる成田先生なら絶対やってくれるでしょ!という期待もありました。ええ、やってくれました。京楽総隊長が「土鯰も?」みたいなこと言うより前に「土鯰じゃん!!」って分かって何だかテンションが上がりました。解号も大好きなんだよなぁ。何さ『お早う!』て。元気出るわ。あ、アニメで車谷さんの『土鯰』を見られるオススメ回を紹介します。例の偽の空座町と入れ替わった尸魂界の本物の空座町で、藍染相手にちょっと頑張る回。それと、劇場版地獄篇の導入となるアニオリで、地獄から脱獄してきたシュリーカーに襲われるルキアを助けるために久々に張り切る回。
『「闇夜の戦闘訓練はまだ必須科目かい?」』。へぇそんなのもあるんですね、覚えました。視覚を遮断してゾーンに入っちゃう檜佐木さん、全篇通して屈指の格好良さ。嘗てこれほどまでに活躍したことはあっただろうか。多分、VSフィンドール以来では。
アウラさんが迫ったと思って『「気をつけろ修兵!」』と、つまりは目を開けろ、と怒声を張り上げる六車隊長の場面は見方によってだいぶ変わるところ……ですよね?時灘が言ったように単純で哀れだったのか、それとも平子隊長が逆撫の能力を檜佐木さんにかけるというのを作戦として組み込む、と分かったうえで時灘を謀ってやろうとしていたのか。どっちなんだろう。後者だと嬉しいけどなぁ。先に謝っておきますごめんなさい、ですが六車隊長ってこれまでの戦いでもそんなに頭脳戦やるイメージなくて……。後に、六車隊長を悪く言った時灘に対して平子隊長が言い返していますが、でもそれでもこっち!て確証は持てない……どうなんだろ……誰か私に200字以内で述べて教えて……。
平子隊長と檜佐木さんの、漫画では明かされなかった卍解、遂にお披露目!良かった……良かったなぁお二人とも、しかも揃ってオサレ値とんでもないやつじゃないですか。
特に檜佐木さん、精神世界まで設定開示!ありがとう!今までは一護の逆さま摩天楼群くらいしか死神の精神世界について言及はなかったと思うので、貴重な資料ですね。『風死』で風が吹くと生と死が両方とも巡り廻る。詩的だ。死神らしい死神に憧れて反映された結果が鎌。少年の夢だ。恐怖と共にのレベルが高すぎる。死なない、でも痛い。恐ろし過ぎるでしょうが。結論、檜佐木さんは凄い。うむ。ところで。『死を禁じ、生を禁じ』『魂を世界に循環させる』『命の流れを止め、世界を停滞させる』『命の停滞』『生と死の境目が存在しない』とかいう表現、大変好みです。
好みというのは自分の創作物にも影響を及ぼすものです。好きなもん書きたいもの。という言い訳をまずさせていただきまして……実は一部微妙に『このほの』主人公さんと被っちゃった感があるのです。こればっかりは早く公開した者勝ちみたいな面がありますが、好きでやる二次創作なので被ったことはあまり気にせず設定は変えない方針でいこうと思います。まぁ、能力そのままだだ被りとかではなく、概念的な一部について先にやられた!というくらいで、ここでこういうこと書いても『このほの』ネタバレにはならないだろうな……というレベルなんですけど。
そんで。
山田清之介が
また
シャァベッタァァァァァァァ!!!
……
謝謝ダンケありがとう。『「どうやら僕には、人の心がないらしいからね。」』とか言いつつ自分にはないものを持つ弟を褒める兄。そして最後の台詞『「命を管理するのが死神の仕事なら、生きる意味を与えてやるのも、君たちの仕事の範疇だろう?」』これ、すごく良いこと言ってる風でそうでもないところが最高ですね。だって、生きる意味を与えてやることは自分の仕事ではないから、君たちがやってねよろしくね、という意味ですよ。僕はただ体を治すことしかしないからねという宣言ですよ。患者の心のケアはしてくれません!それなのに目の届く範囲で自殺でもしようものならすぐ治しますからねこの人!身体の傷だけなら、何度でも!!
しかし生きる意味を患者に与えはしない人でも、何か思いついちゃったな、言いたいなと思ったことは割とぽんぽん口から出るタイプだと思うので、本人にそのつもりがなくても「言いたいこと言った=何か励ましになってた」みたいなことは十分あり得ると思います。いいキャラしてんなぁ。
最後の挿絵の檜佐木さんの横顔、今まで見た檜佐木さんの中で一番いい顔をしてると思います。
あとがきとか読んでると、これ成田先生はノベライズの話がもしまた舞い込んだら書いてくださる気満々なのでは?とも思ったり。一心さんの斬魄刀のことも知りたいし、今回のお話で影で動いてたっぽい日番谷隊長と朽木隊長のことも合わせていつかやってくださる気がしてならない。ウルルとジン太についてははっきりとはもう明かされないかもしれないけど。
浦原さんと夜一さんの出会いの話は久保先生が漫画にするって(※仰っていません)。でもBLEACHファン筆頭でもある成田先生が久保先生にお願いしていらっしゃる(※たぶん)から本当にいつか描いてくださらないかなぁ。ていうか、松原先生と成田先生にだけ明かした話についてあとがきで触れるって、半ば描けという脅迫では(※いいぞもっとやれ)。
ノベライズ読んだら語りたいことだらけで、まーた本編更新を差し置いて駄長文を投げてしまう管理人でした。
今年ももうすぐ終わりかぁ。
今月の拍手お礼文はちゃんと更新する気はある(はちゃめちゃ遅いけど)。年末な雰囲気を感じられるようなものにしようかと思っているので、敢えてギリギリに差し替えるかもしれないなぁ……。