兵士の彼女と軍師の彼
「それじゃ、行ってくるね」
銀色の甲冑が陽光の下でキラキラと輝いた。
まるで場違い。
まもなくその銀は赤に染まるのだろう。
まとめられた黒髪も乱れてしまうのだろう。
もう会えなくなってしまうかもしれない。
「勝ってくるから」
私は軍師。
基本的に戦場に立つことはない。
この頭には彼女を守るための策を練る力はあるけれど、この手に彼女を守る力は無い。
ここから先、私は無力だ。
それがどんなに歯痒いことか君には分かるだろうか?
「私の策が破られるとでも?」
口の端を上げて笑ったのは単なる強がりだ。
本当は不安で不安でたまらない。
だけどそれを見せると彼女の心が揺らいでしまうから。
「あなたは、貴方が思うように、思い切り暴れて来てください」
不安は仮面の下に押し込めた。