もちもち喪中につき、


トド「おもち焼けたよー」
一「十四松にあげたら?」
十四「おもちうまー!」
トド「あはは、十四松兄さんってばがっつきすぎー。僕はきな粉で、と」
十四「じゃあ僕もきな粉で食べるー」
一「ノドに詰まらないようにね」
十四「ゴホッ、ゴホッ、ゴッホ、き、きな粉でむせた」
トド「もうよくばるからだよ〜」
一「十四松、ほら水……」
十四「ゴホッ、ゴホ、ウッ……!!!」
 バタリ
一「じゅ、十四松……!? オイ、十四松!」
トド「救急車、119番……」
一「十四松ー!!」



 チーン

おそ「そんな、嘘だろ……」
カラ「あんなに元気だった十四松が……」
チョロ「もちをノドに詰まらせて、そのまま死んじゃうなんて」
おそ「俺が、パチンコに行ってる間に」
カラ「俺が逆ナンされている間に」
チョロ「僕がハロワに行こうとしている間に」
「「「こんなことになるなんて……!」」」
トド「いや待って! カラ松兄さんは逆ナンっていうよりぼったくりに遭ってただけだよね? 服どうしたの? 何で一人だけ葬式で半裸?」
カラ「フッ……寒いぜ」
トド「どんだけ! とりあえず、僕の上着でも羽織ってて。そしてチョロ松兄さんはそれ結局行ってないよね。何してたの」
チョロ「やっぱり前準備は大事でしょ? 万全のセルフプロデュースで自己PRを」
トド「あ、もういい。もう言わなくていいから」
おそ「ねぇトド松、俺はー?」
トド「おそ松兄さんはいつも通りでしょ。まったく、こっちが一大事だったって時にこの兄どもは……」
一「新年早々、揃ってクズばっかり」
チョロ「でも、そんな新年早々に、十四松は亡くなったんだよね……」
全員「…………」
おそ「俺たち、五つ子になっちまったな」
トド「今、言及するとこ、そこ!?」
一「もう4個で喧嘩することもない」
カラ「布団が少し広くなるな」
チョロ「あのいびきももう聞けないのか……」
おそ「…………存外悪くないんじゃねぇ? 五つ子」
トド「って、オイイイ!! ちょっと、何それ!? いくら何でも薄情すぎるでしょ! 兄弟が死んだんだよ! 少しは悼むとか弔うとか悲しむとかいう気持ちはないの!?」
カラ「落ち着け、ブラザー」
トド「何、カラ松兄さん」
カラ「言いたい事はよくわかる。だが、今はあいつの分まで俺たちが、元気にいつも通りに日々を過ごしてやること、それが大事なんじゃないのか?」
トド「……!」
おそ「カラ松の言う通りだよ。俺たちがしょぼくれてたら、十四松だって天国でツラいだろうよ」
チョロ「十四松の分まで僕たちが力強く生きよう。今を、そして未来を」
一「そう、だな……」
トド「兄さん……」
「どっせーーーーーい!!!」
全員「!!?」
十四「もうみんなひどいな〜。僕まだ息してるよ」
トド「えっ、あれ? どういう事!? 病院で息を引き取ったって……」
十四「おもちは消化したよー。ハッスルハッスルーマッスルマッスルー!」
一「ま、まさか、もちがノドに詰まって普通は呼吸が出来なくなるところを、十四松は発達しすぎた筋肉でそこから無理やり回復したっていうのか!?」
おそ「本当か、一松!」
一「いや、適当」
 ずこーっ
トド「でも、ホント、生きててよかったよ……グスッ」
一「何だ、泣いてるのか? トド松」
トド「だって十四松兄さん、本当に死んじゃったかと思って……こんな、お葬式も始まってるのに、埋葬までの全ての準備が終わったあとに……もう、遅いよ」
おそ「……そういえば、そうだったな……」
式の参列者「どういうことだ、これは!」
参列者「香典を返せー!」
 ワーワー ぎゃーぎゃー
母・父「アワワワワ……」
カラ「これはどうやら……」キラーン
おそ「逃げるしかないようだな!」
チョロ「仕方ないなぁ」
十四「逃げろ〜い!!」
トド「ふふっ」
一「どうしたんだ、トド松」
トド「やっぱり、6人揃って僕らだよね」
一「ああ、そうだな」

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