どこかでズレた
最近よくマスターから熱い視線を感じる。
もしや私に恋を……?いやまさか……。
もやもやとした気持ちのまま日々は過ぎ去るばかり。
もし本当に恋をしているのだとしても、サーヴァントとマスターという関係だ。それを受け取ることはできない。
一時の気の迷いだ。ふさわしい人間は修復された世界にいくらでもいる。いや、その世界にしかいない。このカルデアには、彼女を幸せにしてやれる死者は、一人もいないのだ。
ーーーーーー
巌窟王と天草が会話をしている。
最近よく見る光景だった。巌窟王と天草は同じ時期に召喚に応じてくれたサーヴァントだ。それから月日も経ち、二人は漸く打ち解けたようだった。
じわじわと、胸の奥が熱くなる。感涙しそう。それもこれもこの感情を知ってしまったからだ。おっきーに、教えられたからだ。
ほわんほわんほわんぐだぐだ〜
「まーちゃん最近あの神父さんばっかり見てるね?」
「ん?ああ、天草と巌窟王が並ぶと絵になるなぁって」
「確かに!危うさと儚さと年相応な少年の面をを兼ね備えた神父さんと、危ない香りのするお兄さんだけど本当は気遣い上手で優しくて頼れる大人の人……ねぇねぇ、いいの持ってるんだけどぉ……まーちゃんって同人誌、興味ある?」
「同人誌?友達のをちょっと読ませてもらったことあるよ」
「おひょー!いいじゃんいいじゃん!ぜっっったいに好きになるから!!リバもあるよ!私は認めないけど!」
「うん?よくわかんないけど面白いなら読ませてよ」
「まっかせてー!」
〜〜〜
などということがあったことを思い返す。
その後刑部姫の部屋のコタツでそれはもう、読んだ。読んで読んで、天エドにハマってしまったのだ。リバは認めない刑部姫はエドシロ派だったので戦争が起こりかけたのだが……いや、今でも出会えば討論に発展する。それも楽しくてやめられないのだ。もちろん、お互いに。
「まーちゃん!なにしてるのー?」
背中から声がかかった。しっ、と口に指を当てる。
「ああ、あのお二人さんね」
こそっと二人で隠れて盗み見る。
「やっぱりあの雰囲気、ぜっっったいにエドシロ」
「なに言ってるのさ。手玉にとるのは絶対天草!よって天エドですぅー」
もはや二人を見ずに背を向けて言い合う。
「あの顔で攻めじゃないとかありえないもん。体格的にもそうじゃん」
「いやいや背の低い天草がーというか天草の筋肉見たことある?あんなの体格差なんて関係ないよ!むしろ天草の方が強いから!バスター宝具だし」
「宝具は関係ないでしょー!そんなこと言ったら分裂するじゃんあの人!?攻め放題ってもん……あ、まーちゃんにはまだR18は早かったね?」
「おや、私の話ですか?」
「そう!おっきーはエドシロ派なんだけど私は天エッ………!!!!」
時すでにお寿司(死語)。
おっきーはぐっと親指を上げて霊体化してしまった。
「あーっ!!ずるい!待って!おっきーの裏切り者!」
「エドシロ……天エド……ですか、なるほど」
怒っている様子はないが、怒られた方がマシな反応だ。
「あーあはは、知ってる感じかぁ」
「あなたの視線の意味が漸く理解できました」
「気付いてたんですね……」
「はい……悩んだ時間が無駄でしたね……」
天草は苦虫を噛み潰したような表情で眉間を抑える。
「悩む……?何に?」
「いえ、なんでもありません」
「気になる!気になる!!」
食い下がると、天草は気まずそうに視線を逸らした。
「……あなたが私に恋をしているのかと」
「……えっ」
ぶわっと顔が熱くなる。そんな勘違いをされていたことと、天草がそんな勘違いをしていまうということに、恥ずかしさとなんやかんやがもう分からなくて顔が熱い!
「違うのならよかったです」
「う、うん!違うから安心して」
「天エド……も複雑な心境ですが」
「それは忘れて!!!!」
ーーーーー
「実はまーちゃんが天草クンを自然と目で追ってたのには気付いてんだけど、まーちゃんを傷つけたくなかったのよねぇーなんて……」
一人部屋に戻った刑部姫は、気付かれないように天エドも描き続けるのであった。
2019/2/2
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