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そのとき恋に落ちた

「君は夜がよく似合うね」
カルデアの廊下、消灯後の廊下で二人。背の高い窓から吹き荒れる外の雪を眺めていた時に唐突に切り出される。きっと褒められているのだろうが、どういった意味での発言なのか考えが至らない。
「あなたは……昼がよく似合います」
太陽のように皆を照らす道しるべ。他者に心から手を差し伸べられる温かい光だ。
「うーん、じゃあ、私と君は正反対なわけだ」
嬉しそうに歯を見せて笑う彼女に、少し胸が痛んだ。
「交わることはないのですね」
昼と夜が共存することはない。同じ空を見上げることも、同じ時間を生きることも叶わない。
「あるよ」
雪の反射でいつもより白く見える肌が、その細い指が、私の指に触れる。
「夕暮れ!昼と夜の境界線。そこでだけ私と君は手を取り合える」
こんなふうに。そう言って、私の両の指に自分のものを深く絡めたマスターは、目を細めて微笑む。
「ここは夕暮れだ」


2019/2/2



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