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天草からキス

「マスター、」
優しく右手の甲を撫でられる。
赤い印は一つも掠れていない。
「天草?」
様子がおかしいと思っていたが、本格的にどうかしてしまったのではないだろうか。
天草を見上げていると、少し眉間に皺が寄って、あ、と思った時にはもう、唇が押し当てられていた。

「……ああ、よかった。令呪を使われなくて」
「つ、使う暇なんてなかったよ」
「ええ、そうでしたね。ではもう一度したいと言ったら、使いますか?」
「……使わないよ」
心底安心した表情を見せられた後、もう一度柔らかいものが触れた。

私は何故か拒む気にはならなかった。


2018/4/25



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