高校一年 04/07(月)
自己紹介なんかやんなくてええやろ。どうせみんな中学から一緒なんやし。せやから俺の自己紹介でもスピードスター謙也を真似てやれば、爆笑の嵐。内輪ネタ満載やけど、知らへんやつおらんやろ。あ、おった。俺の斜め前の方で下を向き、長い黒髪に顔を隠しとる。ま、別にどうでもええけど。
「趣味はモノマネ。特技もモノマネ。」
「自分テニス部やんけ。」
俺の微妙なボケにもツッコんでくれたクラスメート。再び笑いが沸き起こる中、笑っとらんのは二人やった。早苗と、えーっと名前知らへんけど小春の連れ。まぁ早苗は毎日毎日俺のギャグとか聞いとるし、慣れとるからしゃあない。けどあの小春の連れ。めっさ辛そう。まぁこない内輪ネタ満載クラスにおっても楽しゅうないやろな。あいつんとこだけ浮き彫りで、まるで昔の財前見てるようやった。
「どうぞよろしく…」
小春の連れは弥栄っちゅーらしい。恥ずかしそうにすぐに座ってまうし、ほんまに人見知りなんやろな。
「今の子知っとる?」
「いや。誰やろな。」
俺の隣のやつらが弥栄について喋っとった。ちゅーかクラス中がこそこそと。別に誰だってええやろ。今日入学式やで?中高一貫ならともかく、高校は中学とはちゃうし、いなくなったやつも、新しゅう入ったやつもおる。アホかこいつら。俺はなんや腹立って、ざわつく中、手を叩いた。頑張って自己紹介したんやからおまえらも拍手しいやと鋭い視線を向ければ、次第にその音は増えていった。
「ほれ次やで次!」
俺の声と同時に、弥栄の後ろの席のやつが立ち上がった。その時、ズボンのポケットに入れとった携帯が震えた。若干びっくりしたけど、取り出してみると小春からのメールやった。ドドンと上がるテンションを押さえながらメールを開けば。
『舞ちゃんも一緒に昼食べることになったからユウくん連れてきてや』
テンションだだ下がりや。『いやや』とほんまテキトーに打って返せば、もう返事は来いへんかった。
ロングホームルームが無事終了し、昼休みになると同時に謙也が走ってきた。なんやねん。
「メシやで!はよ行こうや!」
謙也は3組で隣やし、テニス部もおらへんからヒマなんやろな。ふっ、と鼻で笑うと、謙也は騒ぎ出した。うっさ。さっきの小春のメールの内容を思い出し、ちらりと弥栄を見ると、弁当握りしめて俯いとった。……やめとこ。女嫌いやし。わざわざ俺が連れてくことやない。
「ユウジ…最近財前に似てきたな。」
「謙也さん、ほんまアホやわ。」
「財前のマネすなや!」
「謙也さん、うっさいっすわ。」
「ユウジ…!」
少し涙目になっとる謙也に笑って、俺らは屋上に向かった。