高校一年 04/07(月)
早苗に惚れたんわ、女の先輩たちに呼び出されたときに臆すことなく校舎裏へ向かったときや。いや、ちゃうか。白石に近付くなとか意味分からん文句を言う先輩たちに、『白石のこと好きやから、負けません』言うて宣戦布告しよったときや。こんとき初めて早苗がかっこよう見えて、あぁ好きやなぁって。ほんまアホみたいな恋やった。初めっから叶わんこと知っとった。せやからかな、いつ終わらせればええのか分からんこの気持ちを、冷めるまで待っとくか思て、うやむやなままどっか行ってもうた。中坊の俺の幼い恋心は消え失せたんやな。せやけどなんやろう。早苗と白石を見ればなんや切なくなって。でも振り向いてほしい思たことは一度もない。早苗には幸せであってほしいんや。
はっ、と我に返れば、何故か沈黙が流れとった。このメンツで沈黙とかありえへん。何が起こった、と少し考えれば弥栄がおった。あぁ、俺がさっき暴言吐いたんやっけ。まぁ反省はしとらんけどな。沈黙が痛すぎて俺はコンビニの袋から飲み物を取り出した。わざとらしくカサカサ音を立てて。
「弥栄さんは部活なに入るつもりなん?」
白石やった。やっぱ白石はすごい。さすがバイブル。バイブルはバイブルらしく四天宝寺初心者に運動部と文化部の強制兼部を説明しとった。今年はなに入ろ。中学んときはアップリケ部やったし、今年からは小春と一緒にお笑い研究部でも入るか。
「小春ぅ、高校は一緒にお笑い研究部入ろやぁ」
「そやなぁ、ユウくんと同じ部活入りたいわぁ」
嬉しいことを言ってくれる。小春最高や!ほんま好き!大好きや!なんて最高な気分やったのに。
「えっ、早苗ちゃんも?」
「あたしはマネージャーや。」
弥栄を睨んだ。すごいんだね、なんて言うとったけど、こいつもマネージャー狙ってるんやろ。俺らのマネは早苗だけで十分や。こいつかて、今までの女と変わりないんや。初めはやる気満々やっても、白石のこと見るのに夢中で仕事せぇへんか、すぐに飽きてやめてくか。いつもどっちかやった。その中で早苗だけは最後まで、やり通してくれた。
そんなことを考えとると、いきなり弥栄の中学が青学だったっちゅー話に変わっとった。
「えらいこった。こないなところで共通の知り合いおるとは思わんかったわ」
白石が不二やら手塚やら名前を出しとった。青学っちゅーことは、桃尻やら小春の浮気相手やらもおったんか。そいつらのことは俺も気になったけど、なんや気にくわんから弥栄に話を振ることはせぇへんかった。