高校一年 04/07(月)


この沈黙は、やっぱりわたしのせいなのかな。わたしがいるから、こんなに悪い空気なのかな。さっきから、一氏くんのコンビニの袋をがさがさする音しかしなくって。そんな時に助け舟を出してくれたのは白石くんだった。すごく気が利く人なんだなぁ


「弥栄さんは部活なに入るつもりなん?」
「わわわたし、あの、部活には入らない…つもり、です。」
「あ〜残念やなぁ舞ちゃん。四天宝寺は部活強制参加やで。しかも運動部と文化部の兼部で。」


小春ちゃんの言葉にお箸を持つ手が止まった。え、だって、うそ、まさかそんなはず。うわ、絶望的だ。


「俺らはみんなテニス部なんや。」
「えっ、早苗ちゃんも?」
「あたしはマネージャーや。」
「そうなんだぁ、すごいんだね。」


マネージャーなんてすごい。わたしには絶対出来ないこと。すごいなぁ早苗ちゃん。なんて気楽に考えながらパックのジュースを飲んでいると、一氏くんに睨まれていた。な、なんででしょう。


「白石くんって、テニス上手いの?」
「舞ちゃんなに言うとるの。去年四天宝寺を全国ベスト4まで導いたの、白石やで。」
「や、ちゃうし。あれはみんなで勝ち取ったモンや。俺だけやない。」


忍足くんの言葉を否定した白石くんだったけど、すごくうれしそうで、って言うより今ここにいるみんながうれしそうで。きっと入り込めないような強い絆があるんだろうなぁ。うらやましい。でも一つ気になったことがある。そんなに強いなら、もしかして


「ああの、青学、って知ってますか?」
「知っとるで。準決勝で戦って負けたんや。ちゅーか全国一やしな。」


知ってるんだ…。こんなところで共通の話題ができるとは思わなかった。だから本当に、うれしい。


「わわたしね、青学だったんだ!中学のとき。」
「ほんま?不二とかおったん?」
「うん、同じクラスだった。喋ったことないけど。」
「ほんなら手塚くんは?」
「怖かった…」
「えー!えらいこった。こないなところで共通の知り合いおるとは思わんかったわ」


うれしそうに白石くんが言ってくれたから、わたしも顔が綻んだ。


(で、でも知り合いって言うか…たぶん手塚くんはわたしのことは知らないと思うけど…)


そこで思い出したのが、やっぱり菊丸くんだった。なんでだろう。鼻の奥がツンてして、すごく胸が苦しくて。会いたいなぁって。東京に残ることも出来たけど、お母さんについて大阪に来るって決めたのはわたしだから、弱音は吐かないつもり。だけど、だけどやっぱり寂しいよ。


「舞ちゃん?」
「え?」
「大丈夫?ぼーっとしとったけど。」
「あ、う、うん。ちょっと、いろいろ思い出しちゃって…」
「せやなぁ、寂しいやろなぁ」


寂しい。でも頑張るね。次会うときは、変わった自分でありたいの。そのきっかけをくれたのは、菊丸くん。