『AROMA』より前に書いたものです。
設定は似ていますが、違う夢主イメージです。


***


「えいちゃん、お誕生日おめでと! これプレゼントだよ」
「お、なまえ! サンキューな! ここで開けてもいいか?」
「うん、いいよ!」


今日は幼馴染であり彼氏でもある切島鋭児郎の誕生日だ。放課後一緒に帰ろうと玄関で待っていると、プレゼントをたくさん入れてあるであろう大きな袋を抱えたえいちゃんが走ってきた。多分袋は八百万さんに作ってもらったんじゃないかな。前にそんな感じの袋を緑谷くんが誕生日に背負っているのを見た。サンタさんみたいなんて思っちゃうのは袋が白いからだと思う。ちょっと面白い。
ぱんぱんに入っている袋を見て思う。こんなにプレゼントを貰えるなんてえいちゃんらしい。でも、女の子からもプレゼントとか貰ってるのかなぁ。ちょっとジェラシー。えいちゃんを追って雄英にきたけど、普通科とヒーロー科じゃあまり接点ないしヒーロー科はクラスの仲が良いし、はっきり言って私は不安だ。ヒーロー科は忙しいから2人の時間も満足に取れないのも追い打ちをかけている。ちなみに誕生日プレゼントは腕時計だ。女の子から男の子に腕時計をあげるのは『束縛したい』なんて意味があったりするらしい。自分でちょっと重いと思った。けど、私よりクラスの女の子の方がえいちゃんと過ごしている時間が長いのだ。学校も寮も同じ。そりゃヤキモチ妬いちゃうでしょ。なら少しくらい私をそばに置いておいてほしい。そんな考えから選んでしまったが、えいちゃんは引かないか、今更緊張している。
そんな私をよそに、ラッピングをとって箱を開けたえいちゃんは目を輝かせていた。


「す、すげー腕時計だ! かっけえ!! 高そうだけどほんとにもらっちまっていいのか?」
「うん! えいちゃんに似合うと思って買ったんだもん」


そう言うとえいちゃんは「こんなに良い物貰えるなんて思ってなかったぜ!」なんてはしゃいでくれた。そしてすぐ手首につけると「どうだ!」と見せてきた。うん。すごくいい。カッコいい。そんなに喜んでくれるなんてプレゼントしがいがあるよ。私の中にそんな風に喜んでもらえて嬉しいという気持ちになるのと同時に、純粋な気持ちで時計を選んだんじゃないという罪悪感が広がる。


「……えいちゃん、腕時計を送る意味って知ってる?」
「いや、しらねぇ。なんか意味でもあるのか?」
「あのね…女の子から男の子に腕時計をプレゼントするって、いつも自分を思っていて欲しいって意味があるらしいの……」


もう純粋な笑顔の前で隠すなんて出来ないと、白状した。とは言っても少し軽い言い方になってしまった。だって『束縛したい』なんて言えるわけないし、そこまでしたいわけじゃないし……。
心の中で言い訳を呟いていたら、えいちゃんは私の頭を自分の胸に引き寄せ、いつにもないほどに真剣な声で言った。


「なまえ、あんまり可愛いこと言うな。おさえらんねぇよ」


耳元で言われたその言葉に、ドキドキと胸が鳴る。抱きしめられたことでえいちゃんの心臓の音も聞こえる。2人の鼓動が合わさってうるさい程だ。
生きている。そう実感することが出来る。えいちゃんが居てくれること、隣で笑ってくれること、抱きしめてくれること。私がこんなにも幸せなのはえいちゃんが生まれて来てくれたからだ。今日は生まれた日をお祝いする日。だから今言わねばならない。


「えいちゃん、生まれてきてくれてありがとう!」


Happy birthday Eijiro.
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