☆かささぎ



 大学の講義が終わった後の帰り道に、僕は一房の短い笹を買った。
 というのも、今日は7月7日。七夕だ。
 彼女から聞かされるまでは忘れていた。こういった行事に、僕はあまり親しくない。一人暮らしをしている身でわざわざやろうとも思わないし、特に必要性を感じないからだ。
 そんな僕とは反対に、彼女は暦の上での催し事をとてもよく覚えていた。最近の僕が七草粥だとか節分だとかをするようになったのも、すべて彼女のお陰だと言える。
 傘を差して遊歩道を歩く。例年通りの雨が、今年も変わらずに降り続いてる。彼女も今、この雨を見ているのだろうか。
 僕は傘の下から覗き込むように曇天を見上げる。家路とは真逆の道の向こうに、僕が目指していた建物はあった。
 この白い病棟にも、随分通い慣れたものだ。




「鵲の橋って、三途の川にも架かるのかしら。そうすれば、私もあなたに逢いに行けるのに」