「はぁ〜今日も疲れた」

怒涛のP業もおわりフラフラの足で帰路へつく
…が体力が無い。これは休憩しないと帰れないや
どこかのお店で休憩でもしようかとおもったが時計を見るといつの間にか日付を超えていることに気が付いた。これではお店もしまっているではないか…。
居酒屋なら空いているだろうけど一人でいるのも寂しいし…手持ちのお金もそんなにないし。
仕方ない、近くの公園で休むか。
夜中の公園なんて危険の代名詞ともいえるほどのスポットである。
いや襲われたいわけじゃない。ちゃんと見渡しが良く近くに交番やコンビニが並んでいるような公園を選んでいる。

ベンチに座ると足が重力から解放されこんなに疲れていたんだなと再確認。
明日はオフだからちょっと遅くなっても大丈夫だろう…あぁもう今日だった。

目を閉じて少し休む。
すると突然頬に冷たい感触。

「ひっ!!」

驚いて目を開けてみるといたのは

「山下さん!?」

「よっ、名前ちゃん」

人気アイドルS.E.Mの山下次郎さんだった。
そして手には缶コーヒー。

「びっくりしました...。新手の変態でも現れたのかと…」

「新手の変態って…。こんなところでそんな無防備に寝てて襲ってくださいっていっているもんでしょ?」

「うっ言い訳できないですが…ちょっと休憩してただけです。」

「そんなお疲れな名前ちゃんに眠気覚まし。」

「そこはカフェインじゃないものがよかったです。」

「え〜おじさん見知った子が倒れてるから心配して来たっていうのに。」

「冗談ですよ…ありがとうございます。」

山下さんの手から缶コーヒーを受け取る。
飲むとなんだか元気になった気がする。
あの人気アイドルS.E.Mの山下さんから差し入れ貰ったからかな。
あれ…そういえば

「私今日何も食べてなかった…。」

「は?」

「いやぁ明日…といっても今日はオフなんでいろんな仕事済ませるのに忙しかったからな。いあやぁびっくり。」

「いやいや名前ちゃん」

山下さんは肩を掴んできた。

前現場で一緒になったときも、せっせと仕事している私の食生活をかなり心配してくれたからな。私の中での山下さんは食を蔑ろにしているイメージだったので意外と言ったら315のPも油断したらゼリーとバーばっかり食べてるからアイドル側が気をつけてるそうで…。
蔑ろにした日には説教が小一時間続いたとか315Pが言ってたような…あ。
逃げられないぞ。

「いやいやいや山下さん。見逃してください。」

「見逃せません。」

「ほら今日オフなんでちゃんと食べますから〜だいじょウグッ!!」

山下さんはポケットからゼリーを取り出し口に突っ込んできた。
ちょっと突然突っ込むのだめ…けがする。

「うちのプロデューサーちゃんから押収したゼリーだけどないよりましでしょ。」

「ありがとうございます。」

山下さんと話していろいろ貰っているうちに元気が出てきた。
これで帰れそうだな。さぁ帰るか。

「そろそろ帰ります。」

「で、今日オフなんでしょ?」

「え?…はい。」

「じゃぁ、ちょっと付き合ってちょうだい。」

山下さんは私の手を掴んで引っ張り出した。
どこへ行くんだろう。

「ちょっとさ、今度の撮影女性向けの雑誌の撮影があるんだけどどういう感じがいいのか気になって相談したいんだけど。居酒屋でもいい?奢るから」

「アイドルに奢ってもらうなんてさすがにおこがましいですよ。まぁ相談料としてなら仕方ないですね!」

「...ちゃっかりしてるよね名前ちゃんって」

山下さんはどや顔の私を見て苦笑した。

「でも本当に意外です。他事務所の私に相談するなんて。それにめちゃくちゃ気をつかってもらってるし…。」

「名前ちゃん今売れてるレーゾンデートルのプロデューサーちゃんじゃない。だからアドバイスは貰いたもの。それと…」

前を歩いていた山下さんは突然立ち止まって振りむいた。
その表情は仕事で見せる大人の色気のある顔。

「もしこういうことするの、名前ちゃんだけだって言ったらどうする?」

おどけて言う山下さんに私は呼吸が止まる。なんてね、という言葉を待つがいつまでたっても返ってこない。


冗談でも山下さんの顔、結構好みだから困る。