メタモルフォスの在りか


※トリップ主

「で、あなたは何者なんですか?」

「何者って言われても…一般人です。」

現在大ピンチです。
時間は遡る。


近所の工藤邸に住んでいる沖矢さんに晩御飯とお酒のつまみのおすそ分けに行ったのだが、何故かそこでポアロで働いている安室さんとばったり遭遇。
最初どういうことかと驚いていたがあぁあの回かと答えが出た為、平然と沖矢さん(優作さん)と安室さんにつまみをすすめた。

「お酒のつまみにと思って作ったんですけどお二人とも食べます?」

そういうと安室さんは、はぁ?といった顔をしているが沖矢さんは良いですねと言って私にソファーに座るようにすすめた。
安室さんはどういうことだ、とパニック状態だが何食わぬ顔をしている私に仕方なく赤井さんの死の真相の推理を語りだす。
だがその先は知っている通り、赤井さんによって捕獲作戦は失敗した。
安室さんから先ほどまで話していた携帯を差し出された。
私に?と受け取ると、赤井さんの声が聞こえた。

「巻き込んですまないな。」

「いいですよ。あ、お酒のおつまみ作ったんですけど赤井さんもいります?」

「あぁ頼むよ。」

赤井さんは少し笑っているようだった。電話を切って安室さんに渡すと混乱した表情でこちらを見ていた。どういうことだと聞きたそうな表情だが喫茶ポアロの店員、安室として私の前にいるため聞こうにも聞けない状況のように見えた。大変そうだな安室さん。

そのまま帰ろうとしている安室さんにじゃあこれ持って帰って食べてくださいと晩御飯のつまったタッパーを渡す。

「こんなに食べられませんよ。」

「あぁ外にいらっしゃる方々と一緒に食べてください。」

「は?」

お仕事ご苦労様ですと声をかけて安室さんを外へ押し出した。

扉を閉めて振り返ると頭を抱えてるコナン君と大爆笑している優作さんに迎えられた。

「名前さん、相変わらずマイペースだよな。」

「えぇそうかな。」

「安室さんにあんなこと言って後でどうなっても知らねーからな。」

コナン君が呆れた顔をしていたが私はどういうことだろうと首を傾げた
その時は分かっていなかった。安室さんのしつこさを。


仕事が休みで家でのほほーんとしていたときだった。突然呼び出しのチャイムが鳴り宅配かなとドアを開けた。そこにいたのはある意味宅配のお兄さんだった。

「こんにちは名前さん。」

万遍の笑みを浮かべている安室さんは有無は言わせないといった意志を感じた。
仕方なく家に入れて、そして冒頭に戻る。



「しらばっくれてもダメですよ。なぜあの時僕の仕事仲間がいたと知っているんです」

「え、沖矢さんの家に入る前に見えたんで」

「そんなはずは・・・それに前から疑問だったんですよ。普段、とぼけたふりしてますが事件が起きた時に貴女はふらっとどこかに消えてましたよね。あなたは一体」

「あ、昨日ケーキ焼いたんですよ。食べます?」

「・・・名前さん、話聞く気がないでしょ。」

呆れた顔の安室さんに少し笑ってケーキをとりにキッチンへと向かっていた。だが腕を安室さんに捕まれそれはできなかった。
おどろいて振り返ると彼の表情は先ほどとは違って何かをこらえるようなものだった。

「安室さん?」

「あなたは赤井のことを知っていたんですか」

「・・・うん、そうだね。」

「妬けますね。」

安室さんの言葉に、恨んでいる赤井と会っていた私に嫉妬してそんな顔をしているのかと納得した。

「赤井さんと会いたいのは安室くんなのに、先に会ってしまってごめんね」

それを聞いた安室さんは顔を赤くして怒り出した。

「あなた察しがいいのか悪いのかよく分からない人ですね。馬鹿なんですか!」

「え、えぇー」

「貴女に密かにFBIが会ってことに嫉妬してるんだ!!貴女があいつの名前を呼ぶのさえ許せない。」

安室さんは私の肩をつかんで揺さぶった。
安室さんは私が何もかも知っているとわかった途端、安室さんらしからぬ発言をしだした。かといって降谷さんらしいかと言えばよく分からない。
言いたいことを言い終わり冷静さを取り戻た安室さんは一度大きなため息をついた。
何だか捨てられたワンちゃんのように見えて両腕を広げて待ってみる。
一瞬不服そうな顔はしたものの素直に背中に腕を回してきた。頭をポンポンと撫でると顔を首に埋めてきた。

「本当にあなたは何なんですか。」

「私は私です。」

「そういうことじゃないんだ。」

「じゃあ、安室さんは何なんですか?」

「...あなたはずるい人だ。そう言われたら僕がこれ以上問いただせないとわかってて言ってるのでしょう。それに聞かなくてもおそらく僕の正体を知っているのでしょう?」

返事はせず曖昧に笑っておいた。
別に安室さんにばらしても良いとは思う。
思うが私が原作を知っているがゆえのリスクを彼に背負わせたくないと思っていた。
私だけで十分だ。

「安室さん、今からケーキ食べます?」

「あなた空気読めないのは通常なんですね。もうしばらくこのままでお願いします」

「はい、わかりました」

しばらくそのままで安室さんの背中を撫でた。



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