それはまだ4人が同じ道を目指していた頃の話。
「名前!」
突然後ろから呼ばれて振り向くといつもの3人がいた。
「景世、貞比呂、赤紗! 3人とも修業終ったの?」
「おう。名前の方は?」
「私も今日のノルマは終ったわ。」
名前は景世に、にっこりと笑う。
「名前さんは熱心ですね。」
「そうかな?これくらいしないと、あなた達に追いつけない気がしたからいつもやってるんだけど....。」
「お前自分の力量測り間違えてるだろ」
赤紗が感心していると、貞比呂が嫌な顔をする。
「そう...かな?」
「あぁ、明らかに俺らより強いだろ。」
景世も貞比呂の言った事を肯定する。
「今は勝ってたとしても、いずれ追い抜かれる。やっぱり男性には勝てないからなぁ」
確かに女性は力では男性には勝てない。景世達はまだ若い。
これからが伸び盛りだ。
名前が抜かれるのも、そう遠くないだろうと彼女は考えた。
「そんなことより、あなたたち怪我してるじゃない!!」
確かに景世達は体のあちこちに、浅いが傷を作っていた。
景世は名前が指摘すると、苦笑いをし、貞比呂は大したことないとそっぽを向く。
赤紗はしゅんとしている。
「全く、手当てするからいらっしゃい。」と3人を掴む。
「いやぁ、俺は遠慮するよぉ」とこれから名前に説教されると思った景世が言う。名前は立ち止まった。
安堵の表情をしていると彼女は振り向えった。
「じゃあ、景世は師匠が買ってきた団子、いらないんだ。よーく分かったわ。さぁ2人とも行きましょう。」と言って立ち去ろうとする。
「待った。俺が悪かった。」と景世が止める。振り返った名前は、待ってましたと言わんばかりの顔をしていた。
景世はその表情を見て後悔した。
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「イテテテ!」
「大袈裟!」
貞比呂は消毒液を傷口にかけられ痛さのあまり、大声をだす。
手当てし終った景世は横で痛みのあまり、倒れている。その光景を見た赤紗はゾッとする。
「はい、終わり。」
「お前、わざと痛くしてんだろ!」
涙目で貞比呂は訴えた。
名前は怒った表情でいう。
「景世と貞比呂はこうでもしないと懲りないからよ!赤紗、こっちへきて。」
名前は赤紗の前髪をあげ、額の傷口に消毒液をかけた。
赤紗は先程の二人の光景から、痛みがくるとびくびくしていたが一向に痛みが来ないので安心する。
名前は手早くガーゼを当て包帯を巻いた。
「これでよし。」
「あ!赤紗だけに優しくやるなんてずるいぞ!」
「うるさいわよ、景世。」
先程まで倒れていた景世が勢いよく起き上がり指摘する。
「赤紗は反省の色が見えたからよ。」
「名前、修業だから怪我するのは仕方ないことだろ。」
「そういう事じゃなくて...怪我して放っておいて悪化しないようにするためよ。だから怪我した時はちゃんと報告すること、わかった?」
「「「はい...。」」」
「さて、団子食べに行きましょうか。」
「よし、行くぞ赤紗!」
景世は赤紗を掴んで走っていく。
「あ、こら!走らない!...」
名前は立ち上がるが足に激痛が走りバランスをくずし身体が傾いた。
倒れると思い名前は目をつむるが誰かに腕をつかまれ、引き戻された。
「大丈夫か。」腕を掴んだのは貞比呂だった。
「ありがとう、大丈夫よ。目眩がしただけだから」と言って歩きだそうとしたが掴まれた腕によって阻まれた。
「貞比呂?」
「座れ」
貞比呂が名前の腕を引き無理矢理座らせた。
「どうしたの?貞比呂。」
「左足出せ」
ここで抵抗しても無駄だと感じた名前は大人しく足を出す。
貞比呂は着物の裾をめくる。あらわになった名前の足首は赤く腫れていた。
「やっぱりな。お前足捻ったんだろ。」
「えへへ。」とごまかすと、貞比呂はため息をつく。
「お前、人のこと言う割に自分のことは放っておくのか。」
「違うよ。後でこっそりやろうかなって....」
「いつもそうやってんのか?」
「えっと...アハハ」
貞比呂は険しい表情で名前の足首に湿布を貼る。
「お前、いつも俺らを支えてばっかだろ。... もっと俺らを頼っても良いんじゃねぇか?」
「え?」
「俺はそんなに頼りないか?」
貞比呂は真剣な表情で名前を見る。
「そういう訳じゃないの。貞比呂達は無意識なんだろうけど、私さ、3人にいつも助けられてて...私も護りたいと思って。だから頼りないっていう訳では無いの。」
名前は申し訳なさそうな顔をする。
「だから、気にしないで...」
と言って立ち上がった名前...だったが後ろから貞比呂に抱きつかれた。
「さっ貞比呂!?」
普段の様子からでは想像できない貞比呂の行動に同様する。
「.....気にせずにいられるかよ。」
貞比呂の腕の力が少し増す。
「お前が心配で仕方がない。俺は・・・・・・。」
「え?今な...」
「あぁ!貞比呂抜け駆けは卑怯だぞ!」
聞き返そうとしたが突然聞こえた声によって遮られた。
聞こえ方を見ると団子を持った景世と赤紗が立っていた。
貞比呂は名前を離し距離をおく。
「田神師兄、抜け駆けとはどういう意味ですか?」
「貞比呂が俺を差し置いて、名前とイチャイチャしてたんだよ」と不満そうに言う。
名前は先程の貞比呂を思い出しリンゴのように真っ赤になる。
「してねぇ!!」
貞比呂はそっぽを向くが、耳が少し赤くなっていた。
「あれれ?貞比呂赤いぞ。図星なのか!?もしかして、名前とあんなことやこんなことまで・・・」
「してねぇ!!てんめぇぇぇ。」と貞比呂が怒りのオーラをだしていた。
「まずい、そんじゃ!」
景世は逃げた。
貞比呂はそれを追いかけて、いった。
名前は二人の様子をみて笑う。
赤紗はポカンとした表情で二人のいった方向を見た。
『俺はお前がいなくなるなんて耐えられない。』
貞比呂、さっき言ったことの真意をいつか聞くから....それまで期待してても良いですか?
その後、景世と貞比呂が高峰師匠に怒られたのは言うまでも無い。
(名前さん、貞比呂さんってああゆう人でしたか?)
(意外よね。甘えん坊なのは今日知ったけど...)
(え...想像できない)
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2010.06.23
(2012.03.12 修正)
modoru