イベント「クラサメにくだる命令」後
「先輩、一体どう言うことですか!!」
クラサメが戦地へ赴くことを知ってこの様なこと言ったのは、クラサメの後輩である名前であった。
名前は、それでも歩き続けるクラサメの後をつけながらも話す。
「いくら軍令部長の提案とはいえ、敵地に赴くことで0組の責任をとる必要は無いはずです。それに0組は何もしていない。あの方たちはドクターをつぶすために!!」
名前は急に黙った。冷静さを取り戻した事により、言ったところで何も変わらない事に気がついたのだ。
それは長年の付き合いからでもあり、勘でもあった。
それにクラサメもドクターを潰すためと知ったうえで任務を引き受けた。
「すみません、冷静さを欠いていました。」
「・・・。」
「しかし先輩がいなくなったら、0組は一体誰が指揮するのですか」
それでも名前は彼を止めたかった。それは朱雀の未来を願う人間としてでもあり、彼を思う一人の後輩...いや女としてでもあった。
クラサメが急に止まり振り向いた。振り向いた彼の目はいつものように揺るぎなく真っすぐな目をしていた。
「君は私が以前言った事を覚えているか」
「・・・はい。『先輩に何かあった時は0組を私が後任につく』ですよね。」
と言うと彼は頷いた。
それは0組と連絡が途絶えたあの日にクラサメに言われた言葉だった。
彼はあの時すでに、この事態を予期していたのだろうか。だとしたらあの時から死ぬ覚悟は出来ていたと言うことなんだろう
。
「それで十分だ。君になら0組を任せられる。」
彼の決意はいつも揺らがない。今回も同じように....。
「わかってる、わかっているけどそんなの...」
自分に言い聞かすように呟いた。瞳から涙が溢れそうな事に気がつき咄嗟に俯いた。
(ダメだ、泣いては)
そう思ってクラサメに背を向け走り去ろうとした。
が、腕を引かれたためそれは阻まれた。
次の瞬間には視界が真っ暗になり、クラサメに抱きしめられていた。
「せ、んぱい」
どういうことか理解できず名前は固まった。
名前は耐えられなくなって彼の胸で泣いた。クラサメは名前が泣き止むまで背中をさすっていた。
「ごめんなさい、先輩」
「いや、構わない。」
名前は彼から離れ礼をする。
「お礼をさせてください。いつもお世話になっていたのに、今まで一度も御礼をしてませんから...欲しいものとか、なんでもおっしゃってください。」
「・・・。」
「なんでも構いませんから。」
そういうとクラサメは顎に手をあて考える仕種をする
「では私の、書類の提出をしてもらおうか。」
「...はい?」
「あと、0組の補修授業に、課題未提出及び再提出者の呼び出し。そしてカヅサの監視と」
「待ってください、多いです。それに自分の執務をサボろうとしているだけじゃないですか。」
「なんでもと言ったのは君の方だ」
「言いましたけどそこは遠慮してひとつにするものです。これ常識ですよ!!それにサボりは」
「名前」
「っ!!」
「冗談だ」
今まで一度も名前を呼ばなかったはずのクラサメに名前を呼ばれたじろぐ。その上いつもより表情が柔らかい。
(そんなふうにされたら譲歩するしかないじゃないか)
「で、先輩結局何が...」
と言いかけたが、クラサメに阻まれた。彼の手が名前の頬に触れていた。
先程とは変わり真剣な表情だった。
「クラサメさ...っん」
彼を呼ぶ声はマスクを取り払った彼の唇によって塞がれた
短いキスをし、彼は離れた
「とりあえず、今日はこれで十分だ」
続きは次の作戦が終わってからにしよう。
キスをされたのだと名前が気がついた時には、もう遠くを歩いていた。
「絶対帰って来て下さい、クラサメさん!!約束です。」
遠くなった彼の背中へと名前は叫んだ。必ず帰ってくると信じて・・・・。
戦争中の安らかなひと時
modoru