夜明け
「悠一くんって心配してるときは目を逸らすよね」
どくりと跳ねた心臓が、肋骨の内側にあってよかった。彼女からは見えないから。頭のなかの不安がかたちになる未来を見たくないと、目を背けた自覚はある。全て視て選ぶ権利を持つくせに。咎められた気がした。
「そういうところ、かわいくてすきだな」
まばたきをひとつこぼせば「かわいいなんて怒った?」と微笑む彼女が夜明けに染まる。
――怒ったよ。嘯けば彼女が慌てて謝る。その声を聴きながら、小さくちいさくわらった。