『もしも』
「なつめー！！！！おめでとう！！！」
『早いヨ』
「当たり前じゃんこちとら速さ競ってるんだぞ！」
『誰ト』
「ね、私のおめでとうLINEみた？」
『見た瞬間に電話かかってきタ』
「えっへへ、十二時ぴったに送ったからね、一番だったでしょ！」
『って普通は思うだろうけどネ、残念ながら違ったヨ』
「え！？　誰そのボルトもびっくりな超速スピード祝い」
『バルくん』
「あ〜明星くんか！　確かに明星くん、友達のお誕生日とか盛大に祝いそうだしね〜。明星くんなら仕方ない、負けた」
『いやだからどこで競ってるのサ。ていうかバルくんは友達じゃないシ』
「はいはい友達じゃないねーそうだねー」
『なんかすごいムカつク』
「ところで今日の予定は？」
『普通に仕事。でも夜、事務所で誕生日パーティー開かれると思うけド』
「何その確定事項じゃないやつ。もしかしてサプライズっぽくされてるのに既にバレてる的な？」
『じゃなくテ、ESって昔から律儀に所属アイドルの誕生日を皆で祝ってくれるんだよネ』
「えー何それめっちゃいいじゃん！　愛されてるね夏目〜」
『愛されてるとかそういうことじゃなくテ、そういうしきたりみたいなものだかラ』
「愛されてるでしょ。じゃなかったらそういうしきたりみたいなのって廃れていくものだし、人は集まってくれないよ」
『今日人が来るかもわからないのに何言ってるんだカ』
「来ないわけないじゃん。十二時ぴった即おめでとうメッセージを送ってくれる友達もいるわけだし？　ユニットの二人だって絶対に行くだろうしね」
『……うるさいナ』
「あ、今明星くんのこと友達だって認めた！」
『うるさいナ！！』
「あはは、本当に素直じゃないな〜」
『キミに言われたくないヨ』
「私は素直だよ！　……でもそっか、夏目今日は夜いないのかーそっかー」
『何その言い方。もしかして直接祝いたかッタ？』
「……祝いたかった、のかもって言ったら？」
『うワ、素直じゃなイ』
「うっさい。祝われる立場は黙っとけ」
『そんな言い方してると今日会ってあげないけド』
「え、会えるの！？」
『多分パーティーのあと、ちょっとだけだけなラ』
「ほんと！？　ほんとに！？　会う！　お祝いする！！」
『……何でそっちがそんな嬉しそうなんだカ』
「だって生まれた日をお祝いできるのって幸せなことだもん！　びっくり箱持ってくね！」
『支離滅裂』
「いいツッコミ！　じゃあまた後で連絡して！　夜待機しとくから！」
『はいはイ。それじゃあネ』
「あ！　待って夏目！」
『何？　まだなんかあル？』
「お誕生日、おめでとう！！」
『……今更だなア。でモ、……ありがとう』