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「あっ千夜先輩だ! ねえねえ、SS! オレたちのライブちゃんと見てくれてた?」
廊下の向こうによく目立つオレンジ頭が見えたと思ったら、彼と、それにつられた三人が陸上選手もびっくりな速度で私の傍まで寄ってきた。
「明星、そんな急に詰め寄ったら迷惑だろう」
「あはは……そう言う氷鷹くんも聞きたくて仕方ないって顔をしてるよ」
「そんな顔をしているか? 自分ではよくわからない」
「いやそういうのは大抵自分じゃわからないものだぞ〜? って、すんません先輩。なんかいつもみたいに俺たちばっかくっちゃべっちゃって」
「大丈夫だよ。それがみんなのいいところだしね〜」
真緒くんに謝られながらも、がやがやと一気に騒がしくなった廊下をなんだか楽しく感じてしまう。
この可愛い後輩たちは昨年末、アイドル業界の一大イベント、SSを夢ノ咲学院代表として出場したばかり、そしてその栄光を見事に手にしたばかりだ。だからだろうか、こうして話すTrick Starの面々は以前より自信をつけて輝いているようにも思えた。ちゃんと見てたよ、と告げると、彼らは幼い子どものようにはしゃぎ立てる。見ていないわけがない。私も、そして彼らを親身に思ってくれている他の三年生だって。
「そうそう、ち〜ちゃん先輩がさ、お祝いのパーティをしようってうるさいんだよねー。そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、あの人無計画だから、なんも決まってなさそう」
「まあ確かにね……でも楽しそう! いかにも千秋が言い出しそうだけど」
何も決めてないけどとりあえずパーティだ! とか言って笑ってるんだろうな。でもパーティか。確かにいいかもしれない。あんなに大きな大会で優勝したんだ、しかも夢ノ咲学院にとって初めての頂上。せっかくお祝いするなら豪勢に、それこそみんなを巻き込んだお祭り騒ぎのようなライブに……。ライブ?
「そうだライブだ!!」
「へ?」
「ごめんみんな、私ちょっと急用が出来たから行くねアディオス!」
え、と状況を掴めないような四人の声が聞こえたが、それに応えている暇はない。私は運動不足の身体に鞭を打つように、全速力で走り出した。校内は走行禁止? そんなの知るもんか! 早くこれを紙面に起こして、承諾してもらわないと。新年明けて間もないと言っても、ユニットごとに大小様々なライブがあるのは変わらない。早く準備しないと間に合わない! ああ今ならレオの気持ちがわかる気がする!
そんなことを思っている間に見えてきた生徒会室の文字。ノックもさながら、私はその勢いのまま扉を開けた。
「英智! 企画書提出したいんだけど今から全力で書き上げるからちょっと待っててあと紙とペン貸して!」