燈矢
夏雄
「お父さん、この間まで全然家に寄りつかなかったのに久しぶりに帰ってきたらまた焦凍、焦凍ってさ」
「う、うん……」
「ホント学習しねーよな。あんなに落ち込んでたクセに」
「う、うん……」
「お父さんが恐れてンのはさ、離婚じゃなくて、どーせヒーロー引退に追い込まれるのと焦凍の親権をお母さんに奪られる事だろ?」
「失敗作の俺たちの親権なんてどうでもいいんだよお父さんは。寧ろ清々するはずだ、俺たちが居なければ焦凍の個性訓練に集中出来るって!」
「ホント無責任だよな。自分で要らない子を四人も作って、最高傑作が生まれればあとの残りは放任だもんな」
「離婚なんて俺は絶対に許さない!お父さんが焦凍だけを育てるって、絶対に!絶対に……!!夏くんもそう思うだろ!?なぁ!聞いてンのかよ夏くん!!」
「……離婚って、そんなに悪い事かなぁ……」
「悪い事だろ!俺たちを捨てるって事だぜ!?お父さんが!!俺を!!!」
「でも、お母さんが困らないように慰謝料?だっけ…あと俺たちの養育費とか払ってもらえば何も問題は…」
「お金の問題じゃなくて親権の話してンだよ!」
「ご、ごめん…難しい話、俺にはわからないし……そうだ、離婚は嫌だってお母さんや姉ちゃんに言ったら…」
「わかるだろ!家の女は皆だめだめなんだ!」
「(うわぁ…こうなると燈矢兄めんどくさいんだよなぁ…これはあまり使いたくなかったけど眠いしもう使うしか……)じゃ、じゃあ言い出しっぺの春姉に言ったら……」
「は?夏くんマジでそれ言ってンの?アイツはだめだめな領域を超越してンだよ。あーなんかアイツの名前聞いたら一気に冷めてきた。もういいや寝よう」
「(あんなにうるさかった燈矢兄を一瞬で……!春姉の名前の効力すごい……!)」