たとえばこの現場を撮られたりしたら、浮気ってことになるのだろうか。
いや、だけど彼女も芽依なら信じてくれるはず。いくら俺が好意を持っていても、付き合うことはないのだから。



「なんか旬くんと2人って、ご無沙汰な気がする」


大好きなチーズをつまみに、グラスを進める芽依。


「実際ご無沙汰じゃん」

「何人かでっていうのはちょくちょくあったけどね」

「潤とか斗真とかね。今日はみんな都合悪かったんだ?」

「いや、聞いてない。たまには2人もいいでしょ?」

「…へぇ」


つーか、その発言はやめてくれ。
自分を見失ってしまいそう。

昔、芽依のことが好きだった。
だけど今はちゃんと彼女を愛している。何だかんだで彼女が一番だ。

なのにその決壊が壊れてしまいそうで。

もうこれ以上彼女を裏切るわけにはいかない。



芽依の首にかかっているネックレスが、小ぶりなわりに目に入る。


「…それ」

「え?」

「そのネックレス」

「あぁ、うん」

「ペア物だよな?」

「…まぁ」


ペア物ってことは、つまり、そういうことなわけで。


「この業界の人?」

「…うん」


元々、恋愛でそんなに浮かれたりはしないタイプだけど、この歯切れの悪さはちょっと異常だと思う。
何か、後ろめたいことがあるんだろうか。


「いつから?」

「12月のはじめくらいから、かな」

「まだそんな経ってないんだ」

「うん、結構最近だから」

「クリスマスは?一緒に過ごした?」

「ううん、向こうは地方行ってたし、相葉ちゃんと過ごした」

「あぁ、誕生日だし」

「そうそう」


彼氏が誰かは特定できないけど(するつもりないけど)、クリスマスに彼女が他の男と過ごすこと、快く許したんだろうか。
いや、相手は芽依だ。これくらいのことでグチグチ言ってたら、愛想尽かされると思って我慢してるのかもしれない。大変だな、芽依の彼氏も。

…って、俺は何を他人の心配してんだよ。


「潤とかニノは知ってんの?」

「知らないと思うよ、わざわざ報告とかしないし」


そうだった。嵐って仲は良いけど、それぞれの恋愛事情についてはあまり話さない。特に芽依には。
前にニノに聞いたら「話してもしょうがないでしょ、女子高生じゃないんだから」って言ってた。それだけが理由じゃないだろうけど。

ただ、意外とそういう噂って広まったりすることあるから、みんな耳にはしてると思う。



「旬くんは?今年もハワイ行ったんでしょ?」

「あぁ、うん」

「ワイドショー凄かったよ」
「らしいね」

「てか斗真一緒とかずるい!私もハワイ行きたかった!」

「嵐さん忙しいじゃん」

「それ斗真に失礼だよ」


ケラケラ笑う芽依を見て、思った。

どうか、彼氏が芽依を幸せにできる男であるように、と。

俺はもうその役割を担うことはできないから。
だから、願うよ。





君の幸せを願う