恐怖のはじまり
長かった仕事も終わり、やっと家に着いた。送ってくれたマネージャーにお礼を言って車を降りた。
いつもこのマンションを守ってくれている警備員さんに軽く会釈をして中に入る。
家に入るなり癖になりつつある郵便物を確認する作業に入る。
「‥誰からだろ」
差出人も何も書かれていない真っ赤な封筒。前に剃刀が入った手紙を貰ったときのことを思い出して冷や汗が流れる。
何考えてるの私。あれはもう解決したじゃない。
震える手で封を開けると中から出てきたのは、
「―――いやっ!!」
バサバサと音を立てて床に落ちる数枚の写真。どれもが私を映したもので。どうやって撮ったのか、下着姿で部屋の中を歩き回っているものもある。
そして封筒には一枚、メモ用紙が入っていた。
“もうすぐ迎えに行くからね”
こういったものが届くのは初めてではなかった。だけど家の中まで隠し撮りされるのは今までにないし、第一何回されても慣れるわけがない。
恐怖で体を震わせていると鞄の中にある携帯が鳴った。ディスプレイには“非通知”の文字。
何故だか私は戸惑いながらも出てしまった。
『あれ、出てくれるんだ〜』
「‥誰、ですか」
『嫌だなぁ、将来の旦那の声くらいわかってよ』
ゾワリ。全身に鳥肌が立ったのが感じられた。
『あ、写真よく撮れてたでしょ?』
「やっぱりあなたが‥」
『俺芽依専属カメラマンなれるでしょ?』
キモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイ
その声で私の名前を呼ばないで。
そうは思っても口は動いてくれず『じゃあまたね』という声で電話は切れた。
‥すごく怖かった。怖くて怖くて堪らなかった。誰かに言ってしまいたかった。
だけど最近私の周りの人はみんな仕事で忙しそうで、唯一そうでもなさそう(失礼だけど)な仁は今どこにいるのかも知らない。
忙しいときにこんなこと相談したら、迷惑に決まってる‥。
一般の友達も考えたけど業界人でないだけで立派に仕事している人達ばかりだ。忙しいに違いない。
――だから私は、この恐怖と一人で戦うしかなかった。
恐怖のはじまり
いつもこのマンションを守ってくれている警備員さんに軽く会釈をして中に入る。
家に入るなり癖になりつつある郵便物を確認する作業に入る。
「‥誰からだろ」
差出人も何も書かれていない真っ赤な封筒。前に剃刀が入った手紙を貰ったときのことを思い出して冷や汗が流れる。
何考えてるの私。あれはもう解決したじゃない。
震える手で封を開けると中から出てきたのは、
「―――いやっ!!」
バサバサと音を立てて床に落ちる数枚の写真。どれもが私を映したもので。どうやって撮ったのか、下着姿で部屋の中を歩き回っているものもある。
そして封筒には一枚、メモ用紙が入っていた。
“もうすぐ迎えに行くからね”
こういったものが届くのは初めてではなかった。だけど家の中まで隠し撮りされるのは今までにないし、第一何回されても慣れるわけがない。
恐怖で体を震わせていると鞄の中にある携帯が鳴った。ディスプレイには“非通知”の文字。
何故だか私は戸惑いながらも出てしまった。
『あれ、出てくれるんだ〜』
「‥誰、ですか」
『嫌だなぁ、将来の旦那の声くらいわかってよ』
ゾワリ。全身に鳥肌が立ったのが感じられた。
『あ、写真よく撮れてたでしょ?』
「やっぱりあなたが‥」
『俺芽依専属カメラマンなれるでしょ?』
キモチワルイキモチワルイキモチワルイキモチワルイ
その声で私の名前を呼ばないで。
そうは思っても口は動いてくれず『じゃあまたね』という声で電話は切れた。
‥すごく怖かった。怖くて怖くて堪らなかった。誰かに言ってしまいたかった。
だけど最近私の周りの人はみんな仕事で忙しそうで、唯一そうでもなさそう(失礼だけど)な仁は今どこにいるのかも知らない。
忙しいときにこんなこと相談したら、迷惑に決まってる‥。
一般の友達も考えたけど業界人でないだけで立派に仕事している人達ばかりだ。忙しいに違いない。
――だから私は、この恐怖と一人で戦うしかなかった。
恐怖のはじまり