「‥‥んっ」


重たい瞼を開ければ、カーテンの隙間から光が射し込んでいた。もう、朝だ。

隣を見ればあるはずの温もりが消えていた。


‥やっぱり昨日のことに怒って帰ったんだろうか。そりゃそうか、あんなに一方的に傷つけられたんだ。しかも芽依のことを全く考えていない行為だった。

このこと、他のメンバーに言うのかな。そしたら俺、殴られるな。いや、殴られるだけじゃ済まないか。みんな芽依のこと大好きだろうから。


でも、罪悪感はあるものの不思議とスッキリしていた。セックス一つでこんなに変わるなんて、単純すぎんだろ。



そんな自分に苦笑いしながら体を起こしてリビングへと向かう。




「あ、おはよ」

「‥え」


いるはずのない芽依が笑顔で俺を見る。


「な、んで?」

「なんでって何が?‥あ、キッチン勝手に借りちゃった」



なんかいい匂いがするなと思っていたら、そうか、芽依が朝飯を作ってたのか。
机の上にはご飯、味噌汁、焼き魚‥と和食が揃っていた。


ってそんなことより。


「あの、昨日はホントごめん」

「え、なんで謝るの?」
「いや、だって‥」

「‥お腹すいた?」


いきなり何を言うんだ。
でも机の上の物を見て小さくお腹が鳴ったのは事実だから、戸惑いながらも頷く。

すると芽依はふわりと笑って「じゃあいいよ、許す」と言った。



「は?意味わかんねぇよ」

「私がいいって言ってるんだからいいの。ほら、食べよ!」



芽依に促され渋々と椅子に座る。

ゆっくりと味噌汁を口に入れる。ずずっと体内に入ってきたソレはじんわりと広がった。


「‥美味い」


久しぶりにちゃんと食べたからか、なんだか涙が込み上げてくる。泣くなんてかっこ悪いから堪えたけど。
潤くんがくれた栄養ドリンクを飲んでも翔ちゃんがくれたハンバーグ弁当を食べても何も感じなかったのに。芽依の作ってくれたご飯は美味しかった。なんだか温かかった。



「芽依、」

「なあに?」

「ありがとな」

「‥今日は大雪かな」
「んなわけねぇだろ!」





この日を境にまた前みたいに頑張りだした。他のメンバーは何があったんだという顔をしていたが(芽依は何も言わなかった)、俺が元気になったのが嬉しかったらしく何も聞いてこなかった。


相葉さんなんか泣いてたからね。もう煩いったらありゃしない。子供じゃないんだから。
潤くんは「やっぱニノはこうじゃなきゃ」なんて余裕そうにニヤって笑ったりしてたけど、リーダーからすげぇ心配してくれてたこと聞いてるからね。
翔ちゃんだって相葉さんのこと馬鹿にしてたけど、あなたも泣きそうなこと気付いてますからね。ニノちゃんなめてもらっちゃ困ります。
唯一よくわからなかったリーダー。だけどいつもの笑顔で「おかえり」って言ってくれた。

芽依はそれを笑って見てた。



‥今思えば、きっと俺はこのときから、芽依に恋をしていたんだと思う。





君がいたから

(今の俺がいると言っても過言ではない)