ドラマも始まって忙しくなってきても、やっぱり会いたいって思うのは決まってアイツなんだ。




ドラマどう?

「同年代の男ばっかだし楽しいよ」

良かったじゃん。あっちゃんも可愛いし



確かに前田さんは可愛い。ザ・アイドルって感じだし、くしゃっとなる笑顔とかマジ可愛い。
でも俺はそんな前田さんより今目の前で自分で作ったカレーを美味そうに食べてる女のほうがよっぽど可愛いと思うけど。

‥なーんて言えるわけもなく、うんと頷くことしかできなかった。



「あ、そういえばさ、前田さんにメールしたでしょ」

メール?時々するけど

「そうじゃなくて。俺のことで」


スプーンを口にくわえたまま動きが止まる。視線を上にずらして考えている姿まで可愛く見えるなんて、俺ってば相当重症だな。

‥あぁ!したしたが聞こえたのは少しの間のあと。



「前田さんに聞いたよ。ハズいんだけど」

えー、そんな恥ずかしがるような内容送った記憶ない


どこがだよ。

いきなり前田さんに声かけられて「これ芽依ちゃんから来たメールです」って笑いながら見せられた画面には“翔平って見た目チャラそうだけどいい奴だから仲良くしてあげてね”って(しかも俺には滅多に使ってくれないハートの絵文字付き)

しかもそのあとそれを見てた他の奴らが“芽依ちゃんと友達なの!?紹介して!”って兎に角凄いがっつきようだった。勿論誰にも紹介してないけどね、俺も前田さんも。前田さんも芽依に対して独占欲強いみたい。意外なとこで共通点発見しちゃった。

「母親かっつーの」

仲良くしてほしいもん

「俺と前田さんに?」

うん



それってさ、つまりは俺と前田さんが仲良くしてもどうも思わないってことだよな。わかってたけど再確認させられたっていうか。


若干沈みかけた心も次の一言で一気に浮かび上がる。



だってさ、自分にとって大切な人と大切な人が仲良くなったら嬉しくない?



芽依からすれば何気ない一言で、今の言葉に恋愛感情が含まれていないことなんてわかってる。それでも【大切な人】という括りが嬉しくて。にやけはじめた顔を隠すためにテレビに顔を向ける。もー、聞いてるの?‥聞いてるよ、ばーか。



芽依は今や日本を代表するトップアイドルで人気者で芸能界にも彼女を好きな人は沢山いて、俺なんかとは比べものにならないくらい凄い人。

それでも、頑張って頑張って芽依に追いついたときには、この気持ちを伝えよう。





Distance

だからそのときまで誰のモノにもなるなよ。