[from]上地雄輔
[sub]
―――――――――――
今から家行っていい?

    -END-


[from]渡辺芽依
[sub]re:
―――――――――――
いいけど私引っ越したよ

    -END-









「…………は?」



返ってきたメールを見て思わず声が洩れる。
すぐさま電話をかけた。



もしもし?

「引っ越したってどういうこと!?」

どうもこうもないよ、そのまんまの意味

「あそこセキュリティーとか良かったのに。勿体ねえじゃん」


途端に芽依は黙ってしまった。何かマズいことを言ってしまったのだろうか。

でもホントに芽依のマンションのロックは万全だった。おまけに俺が行ったときによく見かける警備員さんはすっげえ愛想良い感じだったし。
まさかその人が芽依を苦しめてたなんて、俺は知るはずもない。


今の家の詳しい場所を聞いて電話を切った。
後半はなんか元気無いように感じたし、アイツが好きな店のいちごプリンでも買ってってやろう。



***



新しいマンションも警備が凄かった。警備員がいない分、ロックが2箇所ある。さすが今稼いでる奴は違うな、なんて呑気なことを考えていた。



わ、これ私が好きなやつだ!

「わざわざ並んだんだからな!」

ふふ、ありがとう



紅茶を淹れにキッチンへと行った芽依を見つめる。

最近お互い忙しくて(つっても芽依に比べたら俺のスケジュールなんてまだまだだろうけど)こうして会うのは久しぶりだ。会わない間に更に痩せた気がする。いや、痩せたっていうより窶れたって表現のほうがしっくりくる。


俺の視線に気付いたのか、何、そんなに見つめてと笑った。
「いや、最近忙しそうだなって」

んー、まあね。有り難いです

「そんな忙しいのになんでわざわざ引っ越したの?」



芽依の手が止まった。



…なんとなーく、引っ越したくなったの


そう言って机に俺のと自分の分の紅茶を運んできた。アールグレイのいい香りが鼻を擽る。


「なんかあったの?」

別になんもないよ

「でも普通に考えて―――」

あ、砂糖いるっけ?いるならいくついる?



おバカタレントとして売っている俺だって、今芽依がわざと話を逸らしたことくらいわかる。

何かがあったことは確かだけど、どうやら言いたくないらしい。それなら無理矢理聞き出すことはできない。


「…1本でいいよ」

わかった〜



だから今はただ、笑って隣にいよう。

いつでも芽依が素直に俺に甘えてこれるように。





僕の役目