真っ直ぐ凛とした彼女は
「正直さ、どう思う?渡辺さん」
収録終わりに廊下を歩いていたら何処かから聞こえてきた声。勿論それは隣にいる芽依にも聞こえてるわけで。
「どうって、やっぱうざいよ」
「あたし達みたいな下っ端にも挨拶してくれるしいい子なのはわかるんだけどね」
「自分可愛いってわかってやってるよね、行動とか」
曲がり角を曲がった隅のほうで3人の女性スタッフが話しているのが見えた。
おいおい、ここTV局で俺らもいるんだぞ?なんでそんなとこで芽依の悪口を堂々と言えるわけ?
文句でも言ってやろうとした俺の腕を芽依が掴む。振り返ると首を横に振っている。
そんな俺らに気づかず3人は更に話続ける。
「すっごい男タラシなんでしょ?」
「え、そうなの?」
「なんかファンに認められてるからって調子乗ってるよね」
「わかるー!すぐに周りが助けてくれるんだからねって感じする」
「人よりちょっと可愛いからって媚び売ってさ」
どこがだよ。むしろ芽依は助け求めなさすぎて心配になるくらいだよ。それに媚び売ってんのはお前達だろ。前に「松本さん!あの、ここがわからないんですけどぉ」って聞いてきたときと偉い違いじゃねーか。
何より芽依のことを何も知らないくせに、悪く言うのが許せなかった。
「ねえ、」
「え!」
「渡辺さん‥!」
さっきまで隣にいた芽依が3人の中に入る。途端に焦りだすスタッフ。馬鹿じゃねーの。
「ごめんね、今の話聞いてた」
「!」
「う、嘘‥!」
「いや、あの、あれは―――」
「斉藤さん、花形さん、菊池さん‥だよね?」
「え、あ、ハイ」
「私、あなた達にも認めてもらえるように頑張るから」
何を言い出すかと思いきや。
ポカンと口を開けている3人に「じゃあ、お疲れ様」とにっこり笑って芽依は去って行った。‥俺のことは置いていくのかよ。
「おい」
「え、」
「ま、松本さん‥!」
俺のファンなのか知らないけど、芽依のとき以上に焦っている。そりゃそうか、どうやらスタッフの間でも“松本潤は真面目に仕事をしない奴が嫌いだ”ってことは広まっているらしい。別にこの人達が仕事できないわけではないし、きちんと仕事はしているのかもしれない。だけどこんな誰が聞いてるかわからないような場所であることないこと平気で芽依の悪口を言っていたという行為は俺からしたら【不真面目】な域に入るのだ。
「正直、今あんた達を怒鳴りつけたい」
「は、はい‥」
「だけど多分芽依はそんなこと望んでないからやめとく」
「‥すみません」
「申し訳ないけど俺さ、あんた達の名前知らないんだ。失礼だと思うけど、タレントであんた達くらいのスタッフさんの名前なんて一々覚えてる人少ないと思う」
「‥‥‥」
でも芽依はわかっていた。さっき3人の名前を口に出したんだから。
俺だって挨拶はするし何か聞かれたら勿論答える。だけど名前を覚えることなんてしない。プロデューサーの方と違って、あまり覚える必要が無いからだ。プライベートは別として、下っ端は要は雑用なわけで、滅多に話すこともない。
それでも芽依はほぼ全員の名前を覚えている。記憶力がそこまでいいわけでもないのに。
「あんた達が芽依のことどう思おうが勝手だよ。だけど芽依はあんた達のこともちゃんと見てる。それだけは覚えておいて」
スタスタと楽屋へと足を進める。
後ろで「‥なんかかっこいいね」「うん」なんて会話が聞こえてきた。
俺は全然かっこよくなんかねーよ。聞いてすぐに殴りに行きたくなったし。
本当にかっこいいのは、自分のこと悪く言われても決して責めることをせずに真っ直ぐと前を向いている芽依だ。
楽屋のドアの前に芽依が立っていた。俺に気づくと「あ、潤くん!勝手に先行っちゃってごめんね!」と謝ってきた。「別にそんなの気にしてねーよ」って頭を撫でてやると少し安心したように微笑んだ。
真っ直ぐ凛とした彼女は
(俺の何倍もかっこよかった)
収録終わりに廊下を歩いていたら何処かから聞こえてきた声。勿論それは隣にいる芽依にも聞こえてるわけで。
「どうって、やっぱうざいよ」
「あたし達みたいな下っ端にも挨拶してくれるしいい子なのはわかるんだけどね」
「自分可愛いってわかってやってるよね、行動とか」
曲がり角を曲がった隅のほうで3人の女性スタッフが話しているのが見えた。
おいおい、ここTV局で俺らもいるんだぞ?なんでそんなとこで芽依の悪口を堂々と言えるわけ?
文句でも言ってやろうとした俺の腕を芽依が掴む。振り返ると首を横に振っている。
そんな俺らに気づかず3人は更に話続ける。
「すっごい男タラシなんでしょ?」
「え、そうなの?」
「なんかファンに認められてるからって調子乗ってるよね」
「わかるー!すぐに周りが助けてくれるんだからねって感じする」
「人よりちょっと可愛いからって媚び売ってさ」
どこがだよ。むしろ芽依は助け求めなさすぎて心配になるくらいだよ。それに媚び売ってんのはお前達だろ。前に「松本さん!あの、ここがわからないんですけどぉ」って聞いてきたときと偉い違いじゃねーか。
何より芽依のことを何も知らないくせに、悪く言うのが許せなかった。
「ねえ、」
「え!」
「渡辺さん‥!」
さっきまで隣にいた芽依が3人の中に入る。途端に焦りだすスタッフ。馬鹿じゃねーの。
「ごめんね、今の話聞いてた」
「!」
「う、嘘‥!」
「いや、あの、あれは―――」
「斉藤さん、花形さん、菊池さん‥だよね?」
「え、あ、ハイ」
「私、あなた達にも認めてもらえるように頑張るから」
何を言い出すかと思いきや。
ポカンと口を開けている3人に「じゃあ、お疲れ様」とにっこり笑って芽依は去って行った。‥俺のことは置いていくのかよ。
「おい」
「え、」
「ま、松本さん‥!」
俺のファンなのか知らないけど、芽依のとき以上に焦っている。そりゃそうか、どうやらスタッフの間でも“松本潤は真面目に仕事をしない奴が嫌いだ”ってことは広まっているらしい。別にこの人達が仕事できないわけではないし、きちんと仕事はしているのかもしれない。だけどこんな誰が聞いてるかわからないような場所であることないこと平気で芽依の悪口を言っていたという行為は俺からしたら【不真面目】な域に入るのだ。
「正直、今あんた達を怒鳴りつけたい」
「は、はい‥」
「だけど多分芽依はそんなこと望んでないからやめとく」
「‥すみません」
「申し訳ないけど俺さ、あんた達の名前知らないんだ。失礼だと思うけど、タレントであんた達くらいのスタッフさんの名前なんて一々覚えてる人少ないと思う」
「‥‥‥」
でも芽依はわかっていた。さっき3人の名前を口に出したんだから。
俺だって挨拶はするし何か聞かれたら勿論答える。だけど名前を覚えることなんてしない。プロデューサーの方と違って、あまり覚える必要が無いからだ。プライベートは別として、下っ端は要は雑用なわけで、滅多に話すこともない。
それでも芽依はほぼ全員の名前を覚えている。記憶力がそこまでいいわけでもないのに。
「あんた達が芽依のことどう思おうが勝手だよ。だけど芽依はあんた達のこともちゃんと見てる。それだけは覚えておいて」
スタスタと楽屋へと足を進める。
後ろで「‥なんかかっこいいね」「うん」なんて会話が聞こえてきた。
俺は全然かっこよくなんかねーよ。聞いてすぐに殴りに行きたくなったし。
本当にかっこいいのは、自分のこと悪く言われても決して責めることをせずに真っ直ぐと前を向いている芽依だ。
楽屋のドアの前に芽依が立っていた。俺に気づくと「あ、潤くん!勝手に先行っちゃってごめんね!」と謝ってきた。「別にそんなの気にしてねーよ」って頭を撫でてやると少し安心したように微笑んだ。
真っ直ぐ凛とした彼女は
(俺の何倍もかっこよかった)