花弁は散って、落ちる
“芽依って鈍感だよね”ってよく言われるけど、さすがにこの空気がどういったものかは、わかる。
――終わるんだ、わたしたち。
いつもなら「美味い」って飲んでくれるコーヒーも、一度も口をつけられないまま湯気が立っているだけ。
「芽依から見た俺って、どんなの?」
「へ」
予想していたものと違う言葉が投げかけられたから呆気にとられちゃったけど、やっぱり彼の表情は変わらない。
「大人で優しくていつも余裕で…ってカンジ?」
肯定も否定もできず、ただただ俯く。
初めて出逢ったときから大人の雰囲気を醸し出していて、素敵な人だなあって思った。
そのとき私には彼氏がいたから、すぐに恋愛に発展したわけじゃなかったけど。
タイミングってやつが、良かったんだと思う。
ちょうどお互いフリーになった頃に映画の撮影でほぼ毎日一緒にいて、良いところもたくさん見つけて。気付いたら、好きになってた。
あとから聞いたら、結構アピールされてたみたいだけど全く気付かなくて、告白されたときに初めて理くんの気持ちを知ったもん。
付き合ってからも優しいとことか大人なとこは変わらなかったけど、新たな一面も発見した。意外と意地っ張りなんだよね。
だから、理くんの言う“大人で優しくていつも余裕”ってのも当たってるけど、それだけじゃない。
他にも理くんの良いところ、たーくさん知ってる。
けど、それは今言うべきじゃない。
「確かに自分でもそうだと思う。てか思ってた」
「…過去形なの?」
「うん、それは芽依を好きになるまでの俺」
芽依はわかんなかったかもしれないけど。
そう前置きして、やっとコーヒーを口に運ぶ。
「俺、柄にもなくすげえ必死だった。付き合う前も付き合った後も」
「……」
「今まではそんなこと全く無かったのに、会いたい会いたいって思ってて、他の誰かに笑いかけてんのも見たくなかった」
全く知らなかった。だって理くんだって、「そんなに会わなくて平気」「ぶっちゃけ恋愛より大事なことたくさんある」って言ってたのに。
「芽依に会って変わったの。芽依が俺の心乱していくもんだから」
独占欲強くなっちゃった。
そう言って理くんは笑ったけど、なんだか私には泣いてるように見えた。
ジャニーズっていう男だらけのところにいることもあって、私は男友達が多いほうだと思う。
彼氏がいたって2人っきりで会うし、家に入れたりもする。もちろん、そういう行為はしないけど。
これは学生のときから変わらなくて、このことが原因で彼氏と喧嘩になる、なんてことも少なくはなかった。でもまあ、世間一般的に見て、彼氏以外の男を家にあげるのはちょっとおかしいらしいから、嫌だって言われたらちゃんとやめてたけどね。
正直私としては、彼氏だって大事だけどそれと同じくらい友達も大事だから、そうやって言われるとなんか悲しくなったりして。
でも理くんは、そのままでいいって言ってくれた。だから気持ち的に楽だった。
けど、
「このまま付き合ってても、俺も芽依も苦しいだけだ」
「……」
「だからさ…別れよう」
そう思ってたのは、私だけだった。
心臓が誰かに掴まれたみたいにギュッて痛くなった。痛い、痛い、痛い。
でも本当に痛いのは、理くんのココロだ…。
ねえ、理くん。
理くんは私に
「好きの大きさが違う」
って言ったね。
でもね、私もちゃんと
理くんのこと 好きだったんだよ。
言葉にするのも
行動に移すのも苦手だから
伝わってなかったかもしれないけど
本当に 大好きだったよ
ただね、
やっぱり“彼氏”は
私の中の一番じゃないの
ごめんね。
…ごめん。
愛してくれて
ありがとう
花弁は散って、落ちる
――終わるんだ、わたしたち。
いつもなら「美味い」って飲んでくれるコーヒーも、一度も口をつけられないまま湯気が立っているだけ。
「芽依から見た俺って、どんなの?」
「へ」
予想していたものと違う言葉が投げかけられたから呆気にとられちゃったけど、やっぱり彼の表情は変わらない。
「大人で優しくていつも余裕で…ってカンジ?」
肯定も否定もできず、ただただ俯く。
初めて出逢ったときから大人の雰囲気を醸し出していて、素敵な人だなあって思った。
そのとき私には彼氏がいたから、すぐに恋愛に発展したわけじゃなかったけど。
タイミングってやつが、良かったんだと思う。
ちょうどお互いフリーになった頃に映画の撮影でほぼ毎日一緒にいて、良いところもたくさん見つけて。気付いたら、好きになってた。
あとから聞いたら、結構アピールされてたみたいだけど全く気付かなくて、告白されたときに初めて理くんの気持ちを知ったもん。
付き合ってからも優しいとことか大人なとこは変わらなかったけど、新たな一面も発見した。意外と意地っ張りなんだよね。
だから、理くんの言う“大人で優しくていつも余裕”ってのも当たってるけど、それだけじゃない。
他にも理くんの良いところ、たーくさん知ってる。
けど、それは今言うべきじゃない。
「確かに自分でもそうだと思う。てか思ってた」
「…過去形なの?」
「うん、それは芽依を好きになるまでの俺」
芽依はわかんなかったかもしれないけど。
そう前置きして、やっとコーヒーを口に運ぶ。
「俺、柄にもなくすげえ必死だった。付き合う前も付き合った後も」
「……」
「今まではそんなこと全く無かったのに、会いたい会いたいって思ってて、他の誰かに笑いかけてんのも見たくなかった」
全く知らなかった。だって理くんだって、「そんなに会わなくて平気」「ぶっちゃけ恋愛より大事なことたくさんある」って言ってたのに。
「芽依に会って変わったの。芽依が俺の心乱していくもんだから」
独占欲強くなっちゃった。
そう言って理くんは笑ったけど、なんだか私には泣いてるように見えた。
ジャニーズっていう男だらけのところにいることもあって、私は男友達が多いほうだと思う。
彼氏がいたって2人っきりで会うし、家に入れたりもする。もちろん、そういう行為はしないけど。
これは学生のときから変わらなくて、このことが原因で彼氏と喧嘩になる、なんてことも少なくはなかった。でもまあ、世間一般的に見て、彼氏以外の男を家にあげるのはちょっとおかしいらしいから、嫌だって言われたらちゃんとやめてたけどね。
正直私としては、彼氏だって大事だけどそれと同じくらい友達も大事だから、そうやって言われるとなんか悲しくなったりして。
でも理くんは、そのままでいいって言ってくれた。だから気持ち的に楽だった。
けど、
「このまま付き合ってても、俺も芽依も苦しいだけだ」
「……」
「だからさ…別れよう」
そう思ってたのは、私だけだった。
心臓が誰かに掴まれたみたいにギュッて痛くなった。痛い、痛い、痛い。
でも本当に痛いのは、理くんのココロだ…。
ねえ、理くん。
理くんは私に
「好きの大きさが違う」
って言ったね。
でもね、私もちゃんと
理くんのこと 好きだったんだよ。
言葉にするのも
行動に移すのも苦手だから
伝わってなかったかもしれないけど
本当に 大好きだったよ
ただね、
やっぱり“彼氏”は
私の中の一番じゃないの
ごめんね。
…ごめん。
愛してくれて
ありがとう
花弁は散って、落ちる