泣ける場所を提供します
[from]渡辺芽依
[sub]
―――――――――――
今家にいる?
行ってもいい?
‐END‐
珍しいこともあるもんだ。
芽依がこんなメールを送ってくるなんて、きっと明日は大雪だな。
おいで、と返して少し部屋を片付ける。こんな汚いんじゃ、きっとまた芽依に小言を言われる。尤も(もっとも)、そんな元気があるなら、の話だけど。
芽依が好きなカルピスはまだ冷蔵庫にあったっけ。…あ、あるある、良かった。
そんなしょっちゅう来るわけでもないのに律儀に置いておく自分に苦笑してしまう。まあでも、芽依が喜んでくれるならいいや。
メールが来てから20分後。
芽依はやって来た。
「はい、カルピス。芽依好きでしょ」
「ふふ、ありがとう。準備いいね」
誰がどう見たって芽依は泣いている。
…いや、違うな。芽依の“心”は泣いているのに。
無理矢理笑顔を作る健気な姿に、胸が痛む。
けど、おいらからは何もしない。というか、できない。
無理に聞き出したりしたら、芽依は壊れちゃう気がしてならないんだ。
これは10年以上付き合ってきて感じたこと。
ソファに隣同士で座って、おいらは適当に雑誌を読んで、芽依はカルピスを飲みながらテレビを見ている。
ちょうどバラエティー番組がやっていて、もうすぐ主演映画が公開するとかなんとかで、向井理くんが出ていた。
「ねえ、智くん」
「…んー?」
おいらを名前で呼んだこと。
名前で呼ぶときは、体調が悪いとか精神的にいっぱいいっぱいのときの無意識のSOSだってこと。
芽依は気付いてるのだろうか。
「私ね、この人と付き合ってたんだ〜」
司会の人のボケに向井くんが笑っている。
「へえ」
「…もっとびっくりしないの?」
「なんとなくわかってたからねぇ」
「そ、っか」
芽依から「今彼氏いるの!」と聞いたわけじゃないけど、見てたらわかった。
前にVS嵐に向井くんが出てくれたとき、楽屋に挨拶しに来てくれた。一人一人挨拶をして、芽依は映画で共演してるから仲良くなってて話し込んだりしてたんだけど。
その表情(カオ)が少し、ほんの少しだけだけど、おいら達に見せるものとは違うように感じた。
収録中は普通だったし、そんなにテレビをチェックしてたわけでもないから番宣=2人の絡みを見ることもなくて、確証は持てなかったけど。
…そっか、別れちゃったのか。
「智くん、」
「うん?」
「…肩、借りていい?」
俯いてる芽依に見えるかわかんないけど、できるだけ優しく笑って言った。
「翔くんみたいに撫で肩じゃねえから居心地よくないかもしれないけど、どうぞ」
おいらの言葉に小さく笑ってから、控えめにもたれ掛かってきた芽依。
その肩が震えてることも、じわりとTシャツに何かが滲んできたことも、おいらはなーんも気付いてないよ。ただ、芽依に肩貸してるだけだからね。
相葉ちゃんみたいに励ましてやることもできない、松潤みたいにかっこいいことも言ってあげれない、かといってニノみたいに吐き出しやすい空気を作ってあげることも、翔くんみたいに頭良くないからいいアドバイスもできない。
けどね、おいらにだって“泣ける居場所を与えること”くらいはできるよ。
いつも溜め込んじゃう芽依が素直になれる場所。
その先のことは他の人に任せるよ。だっておいらの出番じゃねえもん。
だけど、このポジションは俺だけだからね。
他の誰にも、嵐のメンバーにだって譲ってやんねえからな!
泣ける場所を提供します
[sub]
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今家にいる?
行ってもいい?
‐END‐
珍しいこともあるもんだ。
芽依がこんなメールを送ってくるなんて、きっと明日は大雪だな。
おいで、と返して少し部屋を片付ける。こんな汚いんじゃ、きっとまた芽依に小言を言われる。尤も(もっとも)、そんな元気があるなら、の話だけど。
芽依が好きなカルピスはまだ冷蔵庫にあったっけ。…あ、あるある、良かった。
そんなしょっちゅう来るわけでもないのに律儀に置いておく自分に苦笑してしまう。まあでも、芽依が喜んでくれるならいいや。
メールが来てから20分後。
芽依はやって来た。
「はい、カルピス。芽依好きでしょ」
「ふふ、ありがとう。準備いいね」
誰がどう見たって芽依は泣いている。
…いや、違うな。芽依の“心”は泣いているのに。
無理矢理笑顔を作る健気な姿に、胸が痛む。
けど、おいらからは何もしない。というか、できない。
無理に聞き出したりしたら、芽依は壊れちゃう気がしてならないんだ。
これは10年以上付き合ってきて感じたこと。
ソファに隣同士で座って、おいらは適当に雑誌を読んで、芽依はカルピスを飲みながらテレビを見ている。
ちょうどバラエティー番組がやっていて、もうすぐ主演映画が公開するとかなんとかで、向井理くんが出ていた。
「ねえ、智くん」
「…んー?」
おいらを名前で呼んだこと。
名前で呼ぶときは、体調が悪いとか精神的にいっぱいいっぱいのときの無意識のSOSだってこと。
芽依は気付いてるのだろうか。
「私ね、この人と付き合ってたんだ〜」
司会の人のボケに向井くんが笑っている。
「へえ」
「…もっとびっくりしないの?」
「なんとなくわかってたからねぇ」
「そ、っか」
芽依から「今彼氏いるの!」と聞いたわけじゃないけど、見てたらわかった。
前にVS嵐に向井くんが出てくれたとき、楽屋に挨拶しに来てくれた。一人一人挨拶をして、芽依は映画で共演してるから仲良くなってて話し込んだりしてたんだけど。
その表情(カオ)が少し、ほんの少しだけだけど、おいら達に見せるものとは違うように感じた。
収録中は普通だったし、そんなにテレビをチェックしてたわけでもないから番宣=2人の絡みを見ることもなくて、確証は持てなかったけど。
…そっか、別れちゃったのか。
「智くん、」
「うん?」
「…肩、借りていい?」
俯いてる芽依に見えるかわかんないけど、できるだけ優しく笑って言った。
「翔くんみたいに撫で肩じゃねえから居心地よくないかもしれないけど、どうぞ」
おいらの言葉に小さく笑ってから、控えめにもたれ掛かってきた芽依。
その肩が震えてることも、じわりとTシャツに何かが滲んできたことも、おいらはなーんも気付いてないよ。ただ、芽依に肩貸してるだけだからね。
相葉ちゃんみたいに励ましてやることもできない、松潤みたいにかっこいいことも言ってあげれない、かといってニノみたいに吐き出しやすい空気を作ってあげることも、翔くんみたいに頭良くないからいいアドバイスもできない。
けどね、おいらにだって“泣ける居場所を与えること”くらいはできるよ。
いつも溜め込んじゃう芽依が素直になれる場所。
その先のことは他の人に任せるよ。だっておいらの出番じゃねえもん。
だけど、このポジションは俺だけだからね。
他の誰にも、嵐のメンバーにだって譲ってやんねえからな!
泣ける場所を提供します