遠目からでもわかる。
周りとは圧倒的に違う、オーラを放っている人物。


キョロキョロと俺の車を探していたようだけど、クラクションを鳴らせば少し笑って近付いてきた。



「お疲れ」

わざわざ迎えに来てもらっちゃってごめんね

「いや、俺が無理言ったんだし」


助手席から漂う香りは甘いだけでなく清潔感も溢れており、芽依にぴったりだと思った。

好みが一緒なのか、いつだって芽依が身に纏う香りは俺好みだ。というより、男が好きな香りをわかっているのかもしれない。しかし本人は男ウケというものは全く考えていない。無意識で選んだものが、男が好きなソレってだけだ。
香水に限らず芽依はそういうところがある。決して狙ってるわけじゃない。そこがまた、彼女がモテる要因の1つでもあるんだと思う。

そういう俺も、まんまとハマってしまったんだけれど。



引っ越し後の家に行くのは、何やかんや都合がつかなくて、今日が初めてだ。=あの騒動のとき以来、芽依にも会っていなくて。
見た感じ無理に笑顔を作っているようには見えないから、もう大丈夫なのだろう。俺の誘いを承諾した時点で男性恐怖症は克服できたことはわかっていたけど。

でも少しだけ違う期待もしていた。
他の男が無理でも俺だけは大丈夫だっていう“トクベツ”を。


間柄が変わってしまった今も、俺と芽依はイイ関係を築き上げれていると思っている。それは恋人がいたって変わらない。
俺の中で芽依は、家族でも友達でも彼女でもない、“トクベツ”な存在なのだ。
以前、友人に「所詮元カノじゃん」と言われたときは本気でキレそうになった。

確かに周りからすれば理解できないのかもしれない。一度は男女の関係になってるんだから、何も知らなかった頃と同じようにはいかないしね。



「って寝てるし…」


やけに静かだと思ったら。

まあ、最近はドラマの撮影に嵐としての仕事もたくさんあって、ほとんど寝れてないんだろう。目の下に出来ているクマが化粧では隠しきれていないのがその証拠だ。

無防備すぎるその寝顔を見ると、なんだか切ない気持ちに襲われた。



俺は一体、いつになったら“芽依離れ”ができるんだろうか。





「元カノ離れ」