「――え?」


ラーメンを啜っていた箸を止めて、今言われたことを頭の中で復唱する。


私の記憶が間違ってなければ、相当重大なことを言ったよね?
なのに当の本人はニコニコとカレーを食べ続けている。


「ごめん、何て?」

「だからぁ、結婚することにしたの!」


――やっぱり私の脳は間違っていなかった。



直接話したいことがある、とスーちゃんに言われたけど、どうにもスケジュールが合わなくて困っていたところ、今日、お互い日本テレビで仕事があることがわかった。で、時間を見つけて2人でご飯in食堂。


結婚するつもりだということは聞いていたけど、まさか今日聞かされるとは思ってなかったから。



「ちょっと芽依〜?大丈夫〜?」

「大丈夫、だ、けど」

「ふふ、びっくりした顔してる」


そりゃそうだよ。だってびっくりしてるもん。


「いや、びっくりするよ普通!」

「え〜」

「え、いつ?」

「籍は来月の1日に入れるつもり」

「え、もう1ヶ月も無いじゃんっ」

「誕生日がね、10月30日なの。だからそれに合わせて」

「へえ〜。プロポーズはどうやってされたの?」

「えっとねぇ―――」



スーちゃんと斉藤さんは所謂遠距離恋愛ってやつで。
簡単に会えない分、不安になることも度々あって、よく相談に乗ってあげたりしてた。
それに加え、斉藤さんは離婚経験がある。
あんまり詳しくは知らないけど、前の奥さんとのいざこざもきちんと解決はしてないらしく、スーちゃんの周りの人は2人の付き合いにかなり反対してた。確かに私だって、スーちゃんが傷つくのは嫌だ。

でもスーちゃんは絶対に首を縦には振らなかった。
それだけ強い気持ちなんだから、周りなんか関係ないんだよね。大事なのは2人の気持ちだ。



「いやぁ、優樹菜に続いてスーちゃんもか〜」

「次はまいちゃんかなあ」

「あー、まいちゃんもかぁ!私もそれに続きたいものだわ」

「芽依はまずは彼氏でしょ?」

「…痛いとこつくね」

「あは、ごめ〜ん」


でもスーちゃんの言う通り。かれこれ何ヶ月もフリーな芽依ちゃんです。


「最近結婚願望がすごいあるんだよね」

「相手いないのに?」

「…もうヤダ!」

「ふふ、ごめんごめん。それで?」

「今日スーちゃん見て、改めて思った」

「えー、紗栄?」

「うん。なんか凄い、ハッピーオーラが出てる」

「本当?確かに凄い幸せだけど〜」

「…もう!嫌味か!」

「あはは!」


今私の目の前で笑うスーちゃんは、今まで見た中で一番幸せそうな顔をしている。

どうか、結婚したあとも、彼女がこうして笑顔でいられますように。





ハッピーウエディング!