「ほお、じゃあ今はフリーなんや」

そういうこと



やっとこさ取り付けられた芽依とメシ食う会。(命名はもちろん俺。センスええやろ!)
連絡してからどれだけの日にちが経ったかは知らん。そんなもん数えたところでどうにもならんやろ!


話を聞いてみると、向井くんと別れてから彼氏がいないらしい。


「珍しいな」

…私そんなに軽い?

「いやいや、そうじゃないって」


周りが芽依を放っておくことが、ってこと。

鈍感すぎる芽依は気付いてないみたいやから、俺も詳しいことは言えんけど。


「この人ええなぁって人とかおらんの?」

うーん…今のところは

「何で?エエ男いっぱいいるやん」

それはわかってるけど、好きにはなってないんだもん


芽依の表情が曇ったように見えるのは、立ち上る煙のせいだけじゃないと思う。



ホンマにコイツは気持ち悪いくらいモテる。しかし厄介なことに超がつくほどの鈍感やから、男どもは苦労してるっちゅうことや。

あ、俺はそんなんちゃうで?
普通に好きやけど、恋愛感情ではない。


これだけモテるんやから男が切れることは無いのかと思いきや、そうでもなくて。
意外と真面目なとこがあるから、自分も好き(恋愛感情として)な相手じゃないと付き合わないらしい。

だからか、芽依は付き合ったら、そこそこ長く続くことが多い。



…告白してくれた人はいるの


カルビをひっくり返しながら、ポツポツと芽依は言葉を紡いでく。

でも、そういう風には見れなくて

「…そうか」

良い人なのはわかるんだけど


俺はその人が誰なのか知らんから何も言いようがないけど、芽依がその人ときちんと向き合ったってことは伝わった。


「…まあ、焦らんでエエんやない?」

……

「正直、今めっちゃ忙しいやん」

…うん

「やから別に無理して恋愛する必要なんて無いし、『仕事が恋人です!』みたいなんも全然良いと思うで」



お互いに話に夢中になっとったから、カルビは少し焦げてしまった。案の定、口に入れたら苦くて。
でもその苦味は全然嫌な感じではなく、何でか知らんけど、俺も芽依も美味い美味い言いながら食い続けた。


芽依がこういう話できる男友達ってそんなにいないと思う。鈍感でも、無意識に制止されているんだろう。

だから、できるだけ俺が聞いてやりたい。

ああ、やっぱり俺ってエエ男や!





やっぱりエエ男村上信五