今日、恋をはじめます
別れたから、というわけではないけれど、敬浩とはここ最近連絡をとっていなかった。
でもこの前、某歌番組で一緒になって、久しぶりに話した。それからちょくちょくメールするようになって、今日、ここに来ている。
「ホント美味しい〜」
「酒弱いお前でも飲めるっしょ?」
「うん!」
敬浩の行きつけだというバー。
私はあまりわからないから任せたら、私好みのカクテルが出てきた。苦味も無く、スッキリとした甘さがちょうどいい。
「でも久しぶりだね、2人で会うの」
「だな。歌番組で会うことはあったけど」
「今年の4月だっけ。Mステ一緒だったよね」
「そうそう」
でもあの時はお互いメンバーもいたから、特に喋ったりはしなかった。ただの挨拶程度で終了。
「別れてから初めて?」
「ひでーな、おい。何回かメシ食ったりしたじゃん」
「あれ?そうだっけー」
マジひでー、という非難の声を聞きながら、少し剥げてきた爪先を見る。
明日メイクさんにやってもらおうかな。役柄上、派手目なネイル。こんなの自分じゃ絶対出来ない。さすがはプロ。
店内は薄暗くて、ムード満点だった。
ライトの光がグラスの中の液体に反射して、神秘的な色になっている。
「なあ、芽依ってさ」
「んー?」
「今彼氏いんの?」
「残念ながらいませーん」
酔いが廻ってきたのか、少し頭がフワフワしてきた。
カクテル1杯飲んだだけなのに。ホント私ってお酒弱っ。
「じゃあさ―――俺とヨリ戻さない?」
「 え?」
フワフワした頭で、もう一度反復する。「ヨリ戻さない?」…いやいや、冗談。
「なぁに、珍しく酔ってんの?」
「こんだけで酔うわけねーじゃん」
「……」
「本気で言ってんだけど」
敬浩の真っ直ぐな視線に耐えきれなくて俯いた。
冗談じゃないことは顔と声のトーンでわかる。伊達に彼女やってたわけじゃないから。
敬浩のことは好きだ。
でもそれはゆっけに対する“好き”と同じで、友達として。
もちろん、付き合ってたときはちゃんと恋愛感情として好きだったけど。
だから、こんな気持ちじゃ彼とは付き合えない。断ろう。
¨まだ若いんだから、少しくらい遊びなよ!¨
そんなときに頭を過ぎった由里子のあの台詞。
由里子は由里子なりに私のことを想って言ってくれたんだって、知ってる。私に幸せになってほしいからってことも。
確かに敬浩は付き合ってたときも今も優しいし、大事にしてくれる。
それに一度好きになったことがあるわけだから、今後好きになるかもしれないし、一から始めるよりは可能性は十分にある。
だったら私は 、 。
「…うん」
「え?」
「付き合って、ください」
「 マジ?」
ギュッと抱き締められた体は温かくて。「大事にするから」そんな彼の想いが伝わってくるようだった。
――これで良いんだよね?
――私、間違ってないよね?
今日、恋をはじめます
(そう問い掛けても、答えてくれる人はいない)
でもこの前、某歌番組で一緒になって、久しぶりに話した。それからちょくちょくメールするようになって、今日、ここに来ている。
「ホント美味しい〜」
「酒弱いお前でも飲めるっしょ?」
「うん!」
敬浩の行きつけだというバー。
私はあまりわからないから任せたら、私好みのカクテルが出てきた。苦味も無く、スッキリとした甘さがちょうどいい。
「でも久しぶりだね、2人で会うの」
「だな。歌番組で会うことはあったけど」
「今年の4月だっけ。Mステ一緒だったよね」
「そうそう」
でもあの時はお互いメンバーもいたから、特に喋ったりはしなかった。ただの挨拶程度で終了。
「別れてから初めて?」
「ひでーな、おい。何回かメシ食ったりしたじゃん」
「あれ?そうだっけー」
マジひでー、という非難の声を聞きながら、少し剥げてきた爪先を見る。
明日メイクさんにやってもらおうかな。役柄上、派手目なネイル。こんなの自分じゃ絶対出来ない。さすがはプロ。
店内は薄暗くて、ムード満点だった。
ライトの光がグラスの中の液体に反射して、神秘的な色になっている。
「なあ、芽依ってさ」
「んー?」
「今彼氏いんの?」
「残念ながらいませーん」
酔いが廻ってきたのか、少し頭がフワフワしてきた。
カクテル1杯飲んだだけなのに。ホント私ってお酒弱っ。
「じゃあさ―――俺とヨリ戻さない?」
「 え?」
フワフワした頭で、もう一度反復する。「ヨリ戻さない?」…いやいや、冗談。
「なぁに、珍しく酔ってんの?」
「こんだけで酔うわけねーじゃん」
「……」
「本気で言ってんだけど」
敬浩の真っ直ぐな視線に耐えきれなくて俯いた。
冗談じゃないことは顔と声のトーンでわかる。伊達に彼女やってたわけじゃないから。
敬浩のことは好きだ。
でもそれはゆっけに対する“好き”と同じで、友達として。
もちろん、付き合ってたときはちゃんと恋愛感情として好きだったけど。
だから、こんな気持ちじゃ彼とは付き合えない。断ろう。
¨まだ若いんだから、少しくらい遊びなよ!¨
そんなときに頭を過ぎった由里子のあの台詞。
由里子は由里子なりに私のことを想って言ってくれたんだって、知ってる。私に幸せになってほしいからってことも。
確かに敬浩は付き合ってたときも今も優しいし、大事にしてくれる。
それに一度好きになったことがあるわけだから、今後好きになるかもしれないし、一から始めるよりは可能性は十分にある。
だったら私は 、 。
「…うん」
「え?」
「付き合って、ください」
「 マジ?」
ギュッと抱き締められた体は温かくて。「大事にするから」そんな彼の想いが伝わってくるようだった。
――これで良いんだよね?
――私、間違ってないよね?
今日、恋をはじめます
(そう問い掛けても、答えてくれる人はいない)