1992*4##111
「あー、やっぱ芽依ん家は落ち着くわ!」
と、我が物顔でソファーに座るのは人気女優の上戸彩である。
私の家で寛いでくれるのは嬉しい。だけど、さすがにスウェットで片手にビールって。
「よし、今日は飲もう!」
「私明日朝から撮影だからそんな飲めませーん」
「さすが嵐、忙しいねぇ」
「嵐にも暇なのいるよ。ニノとかニノとかニノとか」
「あはは!確かに最近ニノって個人の仕事あんま無いイメージ」
こういう比較的暇な期間が無いと、みんなやっていけないから。ニノだって大奥らへんの時期は殺人並の忙しさで、本当に大変そうだった。だから、羨ましいっていうよりは、休みがあって良かったって思う。
忙しいってことは有り難いことなんだけどね。やっぱりメンバーの体調の面を考えると、「有り難い」だけじゃ済ませなくなるんだ。
「そういえば聞いたよ」
「ん?」
「敬浩くんとヨリ戻したんでしょ?」
「っ、!」
彩が泊まりに来るってことで、多分この話題は出るだろうことはわかっていた。
わかっていたけどあまり触れたくなかった。
自分と同じ境遇になると共通点もたくさん出てきて分かり合える。それもあって、彩は私と敬浩のことを前から応援してくれていた。
でも、私は彩と違う。
彩はHIROさんと真剣に付き合ってるけど、果たして私もそうだろうか。
敬浩のことが好きだと、胸を張って言えるだろうか。
「わかってるよ」
飲み続けていたビールを机に置いて、彩は優しく笑う。
「敬浩くんに言われて流れで付き合ってるんでしょ?」
「…何でわかったの?」
「芽依見てればわかるよ」
そんなに顔に出ていたのか。演技はまだまだだな、私。
「でも、もう一つわかることがある」
「…?」
「敬浩くんのこと好きだって断言できないけど、芽依はちゃんと真剣に付き合ってる」
彩は私の手に自分のそれを重ね合わせた。
「そんなに後ろめたく感じなくていいんだよ」
「……」
「最初から好き同士で付き合うカップルばっかじゃないじゃん。付き合っていくうちに好きになれる」
「……」
「それに、もし好きになれなかったとしても誰も芽依を責めないよ。だって芽依はちゃんと敬浩くんと向き合ったんだもん」
彩の言葉がじんわりと身体に染み込んでゆく。
好意を寄せられるのは嬉しい。
けど、好きになる可能性が無いのに付き合うのは相手に失礼だから。“堅い女”と思われるかもしれないけど、どうせ傷付けてしまうなら早い方がいい。
そう思っていたからこそ、敬浩とヨリを戻したことが、自分の中でずっと引っ掛かっていた。
でも、彩がああ言ってくれたおかげで、なんだか楽になった気がする。
少し考えすぎだったのかも。
「ほら、明日も早いんでしょ?寝よ寝よ!」
「飲みまくるんじゃなかったの?」
「仕事に支障出させたら芽依のマネージャーに殺されるもん」
「どんだけ凶暴なの、私のマネージャーは」
空になった缶を流しに持っていく彩。その後ろ姿に小さくありがとうと呟いた。
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と、我が物顔でソファーに座るのは人気女優の上戸彩である。
私の家で寛いでくれるのは嬉しい。だけど、さすがにスウェットで片手にビールって。
「よし、今日は飲もう!」
「私明日朝から撮影だからそんな飲めませーん」
「さすが嵐、忙しいねぇ」
「嵐にも暇なのいるよ。ニノとかニノとかニノとか」
「あはは!確かに最近ニノって個人の仕事あんま無いイメージ」
こういう比較的暇な期間が無いと、みんなやっていけないから。ニノだって大奥らへんの時期は殺人並の忙しさで、本当に大変そうだった。だから、羨ましいっていうよりは、休みがあって良かったって思う。
忙しいってことは有り難いことなんだけどね。やっぱりメンバーの体調の面を考えると、「有り難い」だけじゃ済ませなくなるんだ。
「そういえば聞いたよ」
「ん?」
「敬浩くんとヨリ戻したんでしょ?」
「っ、!」
彩が泊まりに来るってことで、多分この話題は出るだろうことはわかっていた。
わかっていたけどあまり触れたくなかった。
自分と同じ境遇になると共通点もたくさん出てきて分かり合える。それもあって、彩は私と敬浩のことを前から応援してくれていた。
でも、私は彩と違う。
彩はHIROさんと真剣に付き合ってるけど、果たして私もそうだろうか。
敬浩のことが好きだと、胸を張って言えるだろうか。
「わかってるよ」
飲み続けていたビールを机に置いて、彩は優しく笑う。
「敬浩くんに言われて流れで付き合ってるんでしょ?」
「…何でわかったの?」
「芽依見てればわかるよ」
そんなに顔に出ていたのか。演技はまだまだだな、私。
「でも、もう一つわかることがある」
「…?」
「敬浩くんのこと好きだって断言できないけど、芽依はちゃんと真剣に付き合ってる」
彩は私の手に自分のそれを重ね合わせた。
「そんなに後ろめたく感じなくていいんだよ」
「……」
「最初から好き同士で付き合うカップルばっかじゃないじゃん。付き合っていくうちに好きになれる」
「……」
「それに、もし好きになれなかったとしても誰も芽依を責めないよ。だって芽依はちゃんと敬浩くんと向き合ったんだもん」
彩の言葉がじんわりと身体に染み込んでゆく。
好意を寄せられるのは嬉しい。
けど、好きになる可能性が無いのに付き合うのは相手に失礼だから。“堅い女”と思われるかもしれないけど、どうせ傷付けてしまうなら早い方がいい。
そう思っていたからこそ、敬浩とヨリを戻したことが、自分の中でずっと引っ掛かっていた。
でも、彩がああ言ってくれたおかげで、なんだか楽になった気がする。
少し考えすぎだったのかも。
「ほら、明日も早いんでしょ?寝よ寝よ!」
「飲みまくるんじゃなかったの?」
「仕事に支障出させたら芽依のマネージャーに殺されるもん」
「どんだけ凶暴なの、私のマネージャーは」
空になった缶を流しに持っていく彩。その後ろ姿に小さくありがとうと呟いた。
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