クザン大将とサボり魔
「大将ー!!!たいしょー!!!」
「どこですかー?!?」
「クザン大将ー!!!」
気持ちのいい陽気に会議に行く途中でちょっと木の下に腰を下ろしたのが悪かったのか、気が付いた時には既に瞼が下がっていた。
遠くで自分を呼ぶ声が響いているが、まだまだ微睡みの中で起き上がる気にはなれずに無視を決め込む。
「あ、いた」
心地よい風の中によく知る香りをのせて、今はここにいるはずのない声に思わず目を開ける。
「もー、大将。怒る人がいないからってサボるのやめてください。探し回ってる部下が可哀想だと思いませんか?」
「あらら、俺まだ夢見てんのかな...★が見える...」
「夢じゃありません!★ただいま帰還致しました」
ビシッと敬礼する手には包帯が巻かれている。
「…またドジったの?」
「大将も大概失礼ですよね。ドジってません。任務は滞りなく完了しています。」
「へぇ。じゃあ、これは?」
降ろされた手を掴み、目の前に差し出す。
包帯が丁寧に巻かれたその手には血は滲んでいない。
「………」
何も答えない★にしびれを切らし、少し力を込めて握る。
「いっ!」
「はぁー」
「ため息つかないでください。」
「他にけがは?」
「……ありません。……って!わ!こら!大将!」
明らかに視線を逸らして小さくなった声にわかりやすい嘘を、とジャケットのボタンを外し、綺麗に仕舞われていたシャツの裾を引っ張り出す。
「もー、お前は本当にさ」
「………」
「任務出す度に傷作ってくるのやめて」
「作りたくて作ってる訳じゃありません。だいたい!この任務だって本当なら大将の任務でしたよね?なのに、サボりまくったツケで今週いっぱいの書類を溜めたから私が出たんですけど?!」
「…すみません」
出されたシャツを仕舞いながら、ふん!と怒り出した★は身なりを綺麗に整えるとスゥと息を吸う。
「クザン大将ー!こぉんなところにいたんですねー!!」
周りに響くほど大きな声で耳元に叫ばれる。
キーンとしそうな頭を押さえていると、その声を聞きつけた部下たちが集まってくる。
わらわらと集まった部下たちにもう大将!!こんなところにいたんですか!早く会議に!!などとせっつかれ、無理やり立たされる。
辺りを見回せば、★はもう部下と共に背を向けて歩いていた。
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