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幼馴染だからって、ずっと仲が良かった訳じゃない。
「泣き虫のくせに」
『うるさい、ぱいなっぷる!』
むしろずっと敵対してた。
「尻尾、じゃんけん弱すぎ。勝負にならない」
『うるさい!いっつもずるい手使ってるくせに!』
てか初めて会った時から喧嘩腰だったし、
「…だれだおまえ、」
『なにそのいいかた!せっかくなかよくしようとしてるのに!』
今もそれは変わってない。
『あははははは!!!!!清志ぃびっしょびしょじゃん!!!!!』
「尻尾、テメェ轢き殺す」
『やってみやがれ』
でも、なんでだろうな。
『あ、清志』
「んだよ」
『高尾君、って知ってるよね?あたし、告られたんだけど』
「……は?」
それを聞いたとき、柄にも無く焦って、イラッとしたんだ。
「…なんでまた…つーかどこで知り合ったんだよ」
『知らないよ。知り合ったのは清志が忘れ物してあたしがそれを体育館に届けに行ったとき。「宮地さんの彼女っすか!?」なんてうっれしそ〜な顔して言われてね。「違う。」つって頭ぶっ叩いたらなんか気に入られた』
あいつそんなドMだったか…?
いや、でもそれ以前に、コイツどーするんだ。
『は?付き合わないよ。高尾君いい子だけど2個下だよ?あたし歳上じゃないとやだから。』
ちょっとほっとしたけど、「年上じゃないといや」っていうのは気に入らねぇ。
俺もダメみてぇじゃねぇか。………ん?
は?
思わず二度見した俺に、『な、なによ…』と言って身構える尻尾。
…いやいや、ない。ありえねぇし。
そもそもコイツは幼馴染みで、出会った瞬間から仲悪くて、いっつも口喧嘩してるような奴で、男勝りで、全然可愛くねーし、でもなんかモテるし、意味わかんねぇし、無駄に力強いし、…………んな態度なのは、俺にだけ、で。
「…なぁ」
『なによ』
「お前って俺のこと好きだろ」
『ああ、そう……ってはぁああぁあああ!?!?』
「図星か」
『な、に、おま、何言って、んの、ばっ、ばっかじゃ、ないの』
「…やたらしどろもどろだな」
見上げた顔は、真っ赤に染まってた。
幼馴染だからって、ずっと仲が良かった訳じゃない。
むしろずっと敵対してて、
初めて会った時から喧嘩腰だったし
今もそれは変わってない
此れからも、変わらないと思ってた
「尻尾」
『何…ってオイ押し倒すな』
「黙ってろ。お前まーた高尾と仲良さそーに話してたじゃねぇか」
『いや…あれは偶然会って話しかけられたから…』
「シカトしろ」
『アンタの後輩でしょーが。…て、かちょっとどいて。ほんと無理…っ』
「……はっ」
あの時と同じ。
顔を真っ赤にしてこっちを睨みつけて、威嚇してる。
違うのは、俺らの体制と、涙目になってきてることと、
…俺らの、関係くらいか。
(好きだよバカ!!)
(吐き捨てるように言われたその言葉に、俺まで真っ赤になったんだ)
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