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『…?あれ、これ…』
休み時間の移動教室中、尻尾は廊下の端に落ちていた生徒手帳を拾った。
『誰のだろ…』
「何?生徒手帳?こんなもん落とすかねー。」
『まぁ、そんなこともあるんじゃない?』
「いやいやふつー持ち歩かないでしょ」
『私が中学の時は持ち歩いてたけどなぁ…』
「うっそだー。てか、どーすんの?それ」
『うーん…』
いったん拾ったものをその場に戻すのは少し気が引けたので、とりあえず持っておくことにした。予鈴が鳴り、慌てて走ってその場を去ったあと、生徒手帳の持ち主が現れるとは知らない。
「あ"ークッソやっぱねぇ…」
授業中、持ち主がどーしても気になった尻尾はこっそり中身を見ることにした。ちょっとだけ、ちょっとだけ…と思いながら開ける。そしてすぐにパタン、と閉じた。そこには、学校ではおそらく知らない人はいない、かなり有名な人の名前が載っていた。
3年○組 宮地 清
『…ま、まじか』
だが尻尾はそんなことより、もっと気になったことがあった。
『(これ…最近有名なアイドルグループじゃん)』
そう、生徒手帳に挟まっていたのは有名なアイドルグループの写真。
後輩に厳しくて、よく物騒なこと言っててちょー怖ぇんだよなー、と同じクラスの彼がぼやいていたのは最近のことだ。
そんな人が、ドルオタ、だなんて。
『(か、返したいけど…もし中身見た?とか聞かれたら私終わる…勝手に見やがったなとか言って絶対殺される)』
尻尾の顔は真っ青になった。
ーーーーーー放課後。
ダムダムと響く体育感の入口に女子高生が佇んでいるのをお得意のホークアイで見つけたのは、高尾和成。
「あっれー…?あ、#name2#じゃーん何してんの?」
『のわぁっ!!な、なんだ高尾君か…』
「ぶはっw驚きすぎだろwwww」
『…失礼な』
「ごめんごめんwwwwwで?誰かに用ー?」
『あ、』
えーーっと…といいながらもじもじしてる#name2#を見て、「(誰かに告んのかな?)」と考える高尾。あーでもさすがに部活中呼び出すような奴じゃないか。と考えを改め尻尾をじっと見下ろす。
その後ろから、黒〜いオーラが漂ってきてることに気付かずに。
「た〜か〜お〜?部活中に女子と逢引とはいい度胸だなコラ」
『!!』
「んぎゃっ!!!だ、誰も逢引なんてしてないッすよ宮地先輩!てかいたいいたい!」
「してるよーにしか見えねーんだよ轢くぞ」
「理不尽!」
後ろからガッと高尾の頭を掴んでギリギリと締め付け毒を吐いているのは、尻尾が拾った生徒手帳の持ち主、宮地清志。
会いたくはなかったけれど、探していた人が目の前にいるのを見て尻尾の体は硬直する。が、勇気を出して声をかけた。
『あ、あの!』
「あ?」
こ、怖い怖い怖い怖い!!!!初対面の人にあ?とか言う人初めて見たよ!?
顔を青くし少し後退りながら、後ろ手に持っていた生徒手帳をそろそろと差し出す。
「?、これ…」
『ろ、廊下に落ちてたの拾って…すみません、中身見てしまいました』
「え!?#name2#って宮地先輩の追っかけだったの!?」
『誤解されること言わないでくれる!?あの、ほんとにこれ拾って…』
「お前が拾ってたのか」
『…!』
「サンキューな。困ってたんだ」
先程の厳しい顔から一変、ふっと優しい顔をした宮地。
その表情に、心臓が高鳴る。
『…はい』
頬が少し熱くなって、顔を伏せる尻尾。高尾はそんな尻尾を見てニヤニヤとあくどく笑った。
「#name2#、お前さー(ニヤニヤ」
『高尾君その顔やめて…』
「?なんかよく分かんねーけど、今度お礼するわ。お前名前は?」
『え!?お、お礼なんていいですよ!』
「遠慮すんなよ。変な奴に拾われなくて助かったし」
『へ、変な奴って…』
「宮地先輩モテっからなー。そーゆー女子に拾われたら返ってこないっしょ?」
ケタケタ笑って説明したのは高尾君。あぁ、確かにクラスの女の子たちが話題にしてたなぁ、と思って再び宮地先輩を見上げる。
…背、高いなぁ。
「あー、まぁだから困っててな。ないのは不便だし」
『…そうですね』
「まぁだから、大したことはできねーけどお礼。させろ」
あ、少し強引。
お礼するって言っている側なのに強引にな言い方に、少し笑いが込み上げた。
『…じゃあ、お言葉に甘えて。#name2#尻尾、1年…高尾君と同じクラス、です。』
「あ"ー…、宮地清志、3年。木村と同じクラス…って木村分かんねーか。えーと…」
「おい宮地、高尾!練習中だぞなにしてるんだ!」
「あ、やべ…」
大坪が体育感の入口に固まってる二人を見つけて呼ぶ。その声には少し怒気を孕んでいて、高尾は身震いした。
「うわーキャプテンめっちゃ怒ってますよ!どーすんすか!?」
「説明すりゃ納得すんだろ。高尾、お前は知らん」
「酷ェ!!!」
「うるせぇ轢くぞ。…と、」
逆鱗に触れる前に、と練習に戻ろうとした宮地が振り返った。
「明日の昼休み!教室行くわ。どっか行ったりすんなよ」
それだけ言って、走っていった。
『…へ、』
「明日の昼休み!教室行くわ。どっか行ったりすんなよ」
『……………!!』
収まったはずの熱が、再び頬を色付かせる。
2人の恋物語は、ここから。
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短編だろーとなんだろーと、短くまとめられないこの感じ…つらい。先輩とこんな知り合い方したい。ないか。
安定のタイトルのセンスのなさはスルースキルで。
つーか宮地先輩のドルオタ出した意味なかった
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