読み切り短編集

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特に変哲もない、普通の日曜日。



「尻尾チャンってさァ…甘えたなの?」


『は?』




寮の荒北の部屋。正確に言えば、寿一も同室。今は新開君と出かけてるとかなんとか。
て、ふたりっきり。



『何急に』


「いやァ?こないだ、福チャンが「尻尾はかなり甘えただぞ」って言ってたからァ」


『まさかの裏切り受けた気分だよ今。なんで話しちゃったの福チャン』


「真似すンじゃねェヨ。ウゼェ」


『ウザくはないな!!!!』


「あいつの真似すンじゃねーヨウゼェからァ。」


『…で?』


「ア?」


『それ聞いて、どーしたいの』


甘えた…いや確かにそうなんだけど。お母さん大好きっ子だからべったべたに甘えてるけど。甘やかしてもらってるけど。




「アー…」



言いにくそうな荒北を見て、ちょっとからかってやろう、なんて気持ちがむくむく湧いた。


『あ、もしかして、甘えて欲しいの?』


「…ア゛!?」


『ビンゴだ。はっはーん』




顔が赤く染まった荒北を見てニヤニヤ。
なんだよなんだよ、私の彼氏かわいいじゃねーか。




「バッ、おま、ハァ!?何言ってンだバーカ!!」


『顔真っ赤ー。ふふ、素直に言えばいいのに』


「何をォ!?」



慌てふためいてる荒北がなんだか可愛く見えて(2回目)、少し恥ずかしいけど、私の方から抱き着いてやった。




「なッ、」



ぎう。と、荒北の細い腰に抱き着いて、息を吸った。
荒北の、男のコの匂い。好きだ。



『荒北、いい匂いする』


「ウッセバーカ」




悪態をつきつつも、私の背中に腕を回して力を込めてくれる。


こういうなんでもない休日、好きだ。

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